🌸 サクラ8:病気と傷み ― てんぐ巣病・腐朽・害虫 ―

春に満開だったサクラが、
数年後には弱った姿を見せることがある。

枝が枯れ、
幹に穴が開き、
花の量が減っていく。

それは突然起きた不調ではない。
多くの場合、長い時間をかけて積み重なった傷みの結果だ。

サクラは、病気に弱い木だと言われる。
だが正確には、
傷を受けやすく、回復に時間がかかる構造を持っている。

🌸 目次

🦠 1. サクラが病気に見えやすい理由

サクラは、幹や枝の組織が柔らかく、
水分を多く含む。

この性質は、
成長を早める一方で、
菌や害虫が入りやすい条件にもなる。

  • 材質:柔らかく湿りやすい
  • 樹皮:薄く、傷つきやすい
  • 反応:傷への封じ込めが遅い

一度できた傷口は、
すぐには塞がらない。

その間に、
菌が入り、内部でゆっくりと広がる。

外から見える異変は、
内部の変化が進んだあとの結果であることが多い。

🌿 2. てんぐ巣病 ― 枝が異常に増える病気

サクラでよく知られる病気の一つが、
てんぐ巣病だ。

枝の一部から、
細い枝が異常に密生し、
箒のような姿になる。

  • 原因:糸状菌(カビ)
  • 影響:正常な成長の阻害
  • 結果:花芽がつきにくくなる

この病気は、
直接枯死を招くことは少ない。

だが、
養分の流れを乱し、
長期的に樹勢を弱める。

見た目の異常が目立つため、
「急に悪くなった」と感じられやすいが、
実際には進行はゆっくりだ。

🍄 3. 腐朽と内部劣化

サクラの老化や衰弱で、
最も深刻なのが、内部の腐朽だ。

幹の中に侵入した菌は、
木質を分解し、
内部を空洞化させる。

  • 侵入口:剪定跡・折れ枝
  • 進行:外から見えにくい
  • 結果:倒木・枝折れ

外見は健康そうでも、
内部が弱っていることは珍しくない。

そのため、
都市部では、安全のために伐採される例も多い。

腐朽は、
老木だけの問題ではない。
若木でも、傷があれば起こる

🐛 4. 害虫と傷口の関係

サクラには、
さまざまな昆虫が関わる。

多くは無害だが、
傷口があると、
そこに集まる虫もいる。

  • カミキリムシ類:内部を食害
  • 穿孔性昆虫:菌の侵入を助長

害虫そのものよりも、
傷と組み合わさることが問題になる。

病気や害虫は、
単独で木を弱らせるのではない。

傷、環境、管理方法が重なったとき、
サクラは静かに耐えきれなくなる。

🌙 詩的一行

サクラは、病気に倒れるのではなく、傷を抱えたまま立ち続けている。

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