🦐 エビ(海)13:サクラエビ ― 漂い、獲られるエビ ―

小さく、赤く、海を漂うエビがいる。サクラエビは、海底を歩く多くのエビとは異なり、浮遊する生活を選んできた。

その姿は季節とともに現れ、短い時間だけ人の前に姿を見せる。大量に獲られ、すぐに姿を消す。その繰り返しが、このエビの特徴でもある。

サクラエビは、場所と時期が重なったときにだけ成立する漁とともに生きてきた。

ここでは、漂うエビとしてのサクラエビを見ていく。

【基礎情報】

  • 和名:サクラエビ
  • 別名:桜海老
  • 英名:Sakura shrimp
  • 学名:Lucensosergia lucens
  • 分類:節足動物門/甲殻亜門/軟甲綱/十脚目/サクラエビ科
  • 分布:日本(駿河湾)・台湾周辺
  • 主な生息環境:沖合の中層(水柱)
  • 水深:日中200〜300m/夜間は浅層へ移動
  • 体長:約4〜5cm
  • 食性:プランクトン
  • 繁殖:浮遊生活の中で行われる
  • 特徴:半透明の赤い体色
  • 人との関わり:季節漁・特産品
  • 保全・注意点:漁期・漁獲量の厳格管理

🦐 目次

🌊 1. 生活様式 ― 漂うエビ

サクラエビは、底に定着せず、海中を漂う浮遊性のエビである。

  • 生活:中層を漂う
  • 移動:自力より水流に依存
  • 集団:群れを形成

この生活様式は、捕食者から身を守る一方で、流されやすいという性質も併せ持つ。

🔁 2. 日周移動 ― 深さを変える動き

サクラエビは、昼と夜で棲む深さを変える。

  • 昼:深い層
  • 夜:浅い層
  • 目的:捕食回避と摂食

夜間に浅い層へ上がることで、プランクトンを効率よく摂取する。

この動きが、夜間漁を可能にしている。

🛥 3. 漁という接点 ― 瞬間的な大量捕獲

サクラエビ漁は、短期間に集中的に行われる。

  • 漁法:夜間の網漁
  • 期間:春・秋
  • 特徴:一度に大量

漁は資源量を見ながら厳密に管理され、毎年必ず行われるわけではない。

🍽 4. 食文化 ― 乾燥と保存

サクラエビは、乾燥させることで旨味を凝縮させる食べ方が選ばれてきた。

  • 加工:素干し
  • 用途:かき揚げ・ふりかけ
  • 役割:風味の付与

小ささゆえに、素材としての扱い方が洗練されてきた。

🌙 詩的一行

漂っていた赤が、季節の記憶になる。

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