海底を歩くエビの姿から、その始まりを想像するのは難しい。だが、エビは最初から今の形で生まれてくるわけではない。
卵からかえった直後、エビはまったく別の姿で海を漂う。泳ぎ、流され、食べ、脱皮しながら、段階的に形を変えていく。
この変化の連なりは、エビが多様な環境を生き抜くために選んできた方法でもある。
ここでは、エビの一生を、順を追って見ていく。
🦐 目次
🥚 1. 卵 ― 海に放たれるはじまり
多くの海のエビは、繁殖期になると卵を海中に放つ。種によっては、雌が腹部に卵を抱え、ふ化まで守るものもいる。
- 産卵:海中または腹部で保持
- 数:数千〜数十万
- 特徴:小さく軽い
卵は潮流に乗り、広い範囲へと運ばれる。この段階で、多くが捕食されるが、それを前提とした数が生まれる。
量で生き残りを確保する。これがエビの最初の戦略だ。
🌊 2. ゾエア幼生 ― 漂う生活
卵からかえったエビは、「ゾエア幼生」と呼ばれる姿になる。
- 形:頭部が大きい
- 生活:浮遊性
- 移動:潮流に依存
ゾエア幼生は、海中を漂いながらプランクトンなどを食べて成長する。この時期は、自分で行き先を選ぶことができない。
流されること自体が、分布を広げる役割を果たしている。
🔄 3. ミシス幼生 ― エビに近づく姿
ゾエア幼生は、脱皮を繰り返し、「ミシス幼生」へと変化する。
- 変化:脚が発達
- 動き:自力で泳げる
- 段階:移行期
ミシス幼生になると、体はエビに近い形になる。漂うだけでなく、ある程度の移動が可能になる。
この段階で、浅海や底に近づいていく種も多い。
🦐 4. 成体 ― 海底に戻る
ミシス幼生を経て、エビは成体の姿へと移行する。
- 生活:底生中心
- 行動:歩行・隠れる
- 役割:捕食・分解
海底での生活が始まると、エビはこれまでとは異なる役割を担うようになる。餌を探し、他の生き物と関係を持ちながら生きる。
漂う時代を経て、場所を持つ。それがエビの一生の流れだ。
🌙 詩的一行
流されてきた先で、ようやく底に立つ。
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