🦗鈴虫20:鈴虫という記憶 ― 音と生きる日本

― 静けさの国の声 ―


🗂目次


🍂鈴虫という象徴

鈴虫の声を聴くとき、
人は季節だけでなく、自分の心を聴いている。

夜の静けさの中で響くその音は、
生きものとしての私たちの記憶を呼び覚ます。

それは古い歌でもあり、
これからも続く命の詩でもある。


🌙音の国、日本

この国は、音に満ちている。
風の音、雨の音、波の音、
そして虫の音。

古くから日本人は、
音の中に“心”を見てきた。

それは、目で見る文化ではなく、
耳で感じる文化。

鈴虫の声はその象徴だ。
静けさの中に響く音の美を、
人は千年のあいだ聴き継いできた。


💫命の声

鈴虫の鳴き声は、
生きようとする声であり、
同時に、消えていく命の声でもある。

生と死のあわいで鳴くその音に、
人は自分の存在を重ねてきた。

だからこそ、この小さな虫の声が、
人の心を動かし続けるのだ。


🕯そして、静けさへ

音が止むと、夜は深くなる。
静けさの中に、
もうひとつの音がある。

それは、
聴こうとする心の音。

鈴虫の声はやがて消える。
けれど、聴く心があるかぎり、
この国には秋が訪れる。

音は記憶になり、
記憶は、静けさの中で再び鳴り始める。


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