南の森では、地面が浅い。
岩の上にわずかな土があり、
その隙間に根が指のように入り込んでいる。
森は、掴むようにして立っている。
🌿 岩にしがみつく根
シイやカシの根は、まっすぐ伸びない。
岩の割れ目を探し、絡まり、巻きつく。
それは柔らかい力であり、
何百年もかけて岩を割るほどの力でもある。
斜面の森では、この根の網が
山を支える骨格になる。
嵐の雨が降っても、
森が崩れないのは、
この見えない指たちが働いているからだ。
💧 水を抱く力
根は、水を吸い上げるだけでなく、ためてもいる。
岩のすき間に染みこんだ水を囲み、
乾いた時季に少しずつ放す。
森全体が、巨大な水の器になっている。
照葉樹の森が“いつも湿っている”のは、
雨が多いからではなく、
根が水を離さない森だからだ。
🌾 命の支え
倒木のあと、露出した根は土に戻り、
そこから苔が生まれ、虫が集まる。
根は終わりのあとも森をつなぐ。
地面の下で支えるもの、
それは見えないが、確かな形をもっている。
森は、その沈黙の上に立っている。
🌙 詩的一行
森は、見えない手で大地を掴んでいる。
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