森の底は、やわらかくも、浅い。
足を置くと、湿りが伝わる。
そこには、土というよりも、
水と苔のあいだのような世界がある。
🌿 薄い土
照葉樹の森の土は、思ったより薄い。
岩の上に、落ち葉がわずかに積もってできている。
腐植があまりたまらないのは、
高い気温と湿りのせいで、
すぐに分解が進むからだ。
けれど、その浅い層の中に、
菌や虫や根が複雑に入り組み、
薄さの中に豊かさがある。
🍃 苔の国
木の根や岩の上には、
苔がびっしりと張りついている。
苔は、雨を吸い、水を保ち、
乾けば眠り、湿れば目覚める。
森の底で呼吸する“緑の皮膚”。
その表面に、
小さなダニやトビムシが動き、
命の微かな気配が絶えず動いている。
💧 水をためる森
厚い土がなくても、森は乾かない。
苔がスポンジのように雨を抱き、
木の根がそれを受け取る。
だから照葉樹の森は、
どんな斜面でも生きていられる。
森の底は、沈黙の貯水槽だ。
音もなく、光もなく、
ただしずかに命を支えている。
🌙 詩的一行
苔の下には、森の心臓がある。
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