🌍 世界4:氷の島に舞う影 ― アイスランドで初めて確認された蚊

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気候の変化と、生き物たちの境界線(2025年10月26日)

氷の国に、初めて小さな羽音が響いた。
10月23日、アイスランドの研究者が、
国内で初めて生きた蚊を確認したと発表した。
北極圏にほど近いこの島国では、
これまで低温と乾燥が原因で蚊が生息できなかった。

だが、この秋。
気温が例年よりも高く、湿度も上がり、
一部地域の沼地で成虫が観測されたという。
専門家は「短期間の繁殖であっても、
定着の第一歩になりうる」と警鐘を鳴らす。

氷に守られてきた生態系の扉が、
わずかに開いた瞬間だった。
アイスランドには外来種に弱い在来昆虫が多く、
もし蚊が定着すれば、
感染症や食物連鎖の変化を引き起こすおそれがある。

この小さな出来事は、
地球の“温度の境界”が動いていることを示している。
数十年前には想像もされなかった寒冷地に、
いま、熱帯の命が足を踏み入れている。

人はそれを「異常」と呼ぶけれど、
自然にとってはただの“順応”かもしれない。
変わりゆく気候の中で、
生き物たちは今日も、自分の居場所を探している。

氷の下の静寂に、
わずかな羽音が響く。
それは新しい時代の足音のようでもあり、
失われる静けさへの別れの音のようでもある。

🌏 せいかつ生き物図鑑・世界編
― 変わりゆく地球を見つめる観察記 ―

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