🍊ミカン12:はるか ― 柑橘のやわらかな変化 ―

ミカンシリーズ

― 酸味の中に、やさしさが残る ―

分類ミカン科ミカン属(Citrus tamurana
和名はるか
英名Haruka orange
分布日本(九州・四国・本州南部)/原産:日向夏の枝変わり
樹高2〜4m(常緑小高木)
果実径6〜8cm
2月〜4月
特徴淡い黄色の果皮で、酸味が少なく甘みが柔らかい。果汁は控えめで香りが穏やか。
主産地愛媛県・大分県・宮崎県など
食用部位果肉(生食・ゼリー・菓子)
文化的利用春の贈答果・家庭向け柑橘。色の淡さを活かした菓子材料。

🍊目次


🌿 起源と発見 ― 日向夏の枝から生まれて

はるかは、宮崎県で栽培されていた日向夏の枝変わりとして発見された。 自然発生的な変異であり、交配ではなく“枝の中で起きた変化”によって生まれた。 果実の色が淡く、酸味が穏やかだったため独立品種として登録された。 名前の「はるか」は、春に旬を迎える果実であることに由来する。


🍊 果実の特徴 ― 淡い黄色とまろやかな味

果皮は明るいレモンイエローでつやがあり、 果肉は淡い黄色を帯びる。 糖度は約11度、酸度は0.5〜0.8%と低く、 舌にやわらかな甘味が広がる。 香りは穏やかで、強い柑橘香ではなく、 ほのかな甘酸っぱさが印象に残る。 果汁は控えめで、口に含むとやさしくしっとりとした食感になる。


🌎 栽培と環境 ― 冬を越えるやわらかな木

はるかは寒さに比較的強く、冬を越えて春に収穫される。 樹勢は穏やかで、風や寒気を防ぐ環境が適している。 果実が枝に長くとどまるため、貯蔵性が高く、 酸がゆるやかに抜けて味が落ち着く。 この性質が“冬と春をつなぐ果実”としての存在を形づくる。


🥢 味わいと印象 ― やさしさの中の酸味

はるかを食べると、酸味が少ないのに口が軽くなる。 甘さが強すぎず、香りが短く消える。 そのあっさりした後味が、春の果物らしい清潔さを感じさせる。 濃厚さよりも、心を休めるような味。 “強さのない柑橘”がもつ価値を、はるかは静かに伝えている。


✒️ 詩的一行

やわらかな酸味が、冬と春をつないでいく。


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