― 甘さと香りの調和が生んだ、やさしい果実 ―
| 分類 | ミカン科ミカン属(Citrus reticulata hybrid) |
| 和名 | はるみ |
| 英名 | Harumi tangor |
| 分布 | 日本(主に静岡・愛媛・和歌山)/原産:日本(清見 × ポンカン) |
| 樹高 | 2〜3m(常緑小高木) |
| 果実径 | 7〜9cm |
| 旬 | 2月〜3月 |
| 特徴 | 柔らかく多汁で、香りが高い。果皮がむきやすく、酸味が少ない。袋が薄く食べやすい。 |
| 主産地 | 静岡県・愛媛県・和歌山県 |
| 食用部位 | 果肉(生食・ジュース) |
| 文化的利用 | 家庭用柑橘として人気。親しみやすさから学校給食などにも用いられる。 |
🍊目次
🌿 誕生と背景 ― 清見とポンカンの再会
はるみは、清見オレンジとポンカンを交配して生まれた品種。 不知火(デコポン)と同じ親を持ちながら、性質はより温和でやわらかい。 農林水産省果樹試験場で1980年代に育成され、1990年代から市場に登場した。 “春の実り”を意味する名の通り、明るく穏やかな味わいが特徴である。
🍊 果実の特徴 ― やわらかく香る甘み
果皮は薄く、手で簡単にむける。 袋も柔らかく、そのまま食べても口に残らない。 糖度は12〜14度、酸度は0.8%前後。 ポンカン譲りの甘い香りと、清見のまろやかな酸味を併せもつ。 食べた瞬間、香りがふわっと立ち上がり、すぐに消える。 その軽やかさが「日常の果実」としての魅力をつくっている。
🌎 栽培と環境 ― 人に近い果樹
はるみは温暖な地域でよく育ち、樹勢が穏やかで扱いやすい。 果皮が薄いため、強風や日焼けを防ぐ管理が必要だが、 収穫量は安定し、家庭果樹にも向く。 清見系の品種らしく、果汁の多さと味の安定性が評価されている。 人工交配から生まれながらも、人の暮らしのそばに根づいた品種である。
🥢 味わいと印象 ― 暮らしの中の柑橘
はるみの味は、刺激よりもやさしさにある。 強い甘味や酸味ではなく、穏やかな調和。 朝の果物としても、食後のひと口にも合う。 香りが残らず、口の中がすっと静まる。 その感覚が、人の暮らしの中に自然と溶け込む理由だろう。
✒️ 詩的一行
静かな甘さが、春の空気を連れてくる。
コメント