命は終わらない。ただ、かたちを変えて続いていく。
森には、
未来という言葉が似合わない。
そこにあるのは、
ただ続いていく命の呼吸。
昨日倒れた木の上に、
明日の芽が生まれる。
きのこは、
その“あいだ”をつなぐ存在だ。
生と死、始まりと終わり、
過去と未来――
その境界の上で、静かに揺れている。
🌱 命を受け継ぐ仕組み
胞子は風に乗る。
ひとつひとつは目に見えないほど小さいのに、
それが森の命を動かしていく。
倒木の上、湿った石の隙間、
鳥が落とした種の陰。
どこかで、また新しい命が芽吹く。
きのこの世界に「終わり」はない。
古い木が土になり、
その土からまた芽が伸びる。
その繰り返しの中で、
森は“未来”を紡いでいる。
🍂 人の未来に残る森
人の暮らしもまた、
菌に支えられている。
パンを膨らませ、味噌を熟させ、
土を肥やし、水を清める。
菌は、
人の未来の中にも生きている。
森を忘れても、
私たちの身体の中には、
無数の菌たちが棲んでいる。
それは見えない森の続き。
人という生命もまた、
森の一部として未来へ流れていく。
🌳 森を継ぐもの
子どもが森に入ると、
必ずきのこを見つける。
大人よりも先に、
地面のかすかな変化に気づく。
それは、森の目をまだ失っていないからだ。
森は人に教える。
分け合うこと、待つこと、戻すこと。
その教えが消えない限り、
森は絶えず継がれていく。
✨詩的一行
未来は、森の中に眠っている。
それを起こすのは、ひとつの胞子の息。

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