🦀蟹2:海を歩くということ

― 潮の底に、足跡を残す ―

🌊 はじめに

海の底には、
静かに続く道がある。

波がすべてを撫でていくその下で、
誰も知らない小さな足跡が
砂に刻まれては、また消えていく。

それが、
海を歩くということ。

🦀 歩くという行為

カニは、
泳ぐよりも、歩くことを選んだ。
横に進む脚は、潮の抵抗をいなし、
波の重さを受け流すためのかたち。

その歩みは遅く、
しかし止まらない。

砂の上を、岩の上を、
ときに潮の切れ間を渡りながら、
彼らは「海の重力」を背負って進む。

🌤️ 海の時間

歩くたび、砂が舞い、
光がゆらめく。
その一歩ごとに、
海の時間がほんの少しだけ動く。

潮はそれを包み、
また静けさを戻す。
海の歩みとは、
世界の呼吸そのものなのかもしれない。

🪶 終わりに

カニの足跡は、
次の波が来るまでの命。
それでも彼らは歩く。

海の記憶に、
名も残らぬまま。

次話:潮の循環と命のはじまり

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