🐍ヘビ8：危機と保全 ― 外来種・乱獲・生息地の変化 ―

― 静かな湿地でひっそりと暮らす影も、都市の片隅に残った草地を行き来する影も、どれも環境の変化に敏感だ。ヘビは強そうに見えて、実は外的要因に大きく左右される生き物である。森林の減少、水辺の改変、道路による分断、外来種の侵入、そして乱獲――これらの変化は、静かに暮らすヘビたちを押しやっていく。

ここでは、現代のヘビが直面する危機と、それに対してどのような保全が必要なのかを整理する。ひとつの種だけでなく、地域全体の生態系を守る視点が重要になる章だ。

🐍目次

ヘビにとって、生息地の喪失はもっとも大きな危機だ。

ヘビは広い範囲を移動するため、生息地の縮小は“行動圏そのものが奪われる”ことにつながる。

道路や線路は、ヘビにとって大きな障壁となる。

「道路は人だけのもの」ではなく、 野生動物にとっての地形変化であることを忘れてはならない。

外来種が入り込むと、生態系のバランスは大きく変わる。

沖縄などでは外来マングースが在来ヘビを激減させた例があり、外来生物の影響は一度崩れると回復が難しい。

ヘビは古くから人との関わりが深く、現代でもさまざまな形で利用されている。

乱獲は個体数を直接減らすだけでなく、 地域集団の年齢構造を歪めるため、長期的な影響が大きい。

ヘビを守るには、単一の対策では不十分。環境・社会の両面から包括的な取り組みが必要だ。

“怖がる存在”から“環境の一部として理解される存在”へ。これがヘビ保全の大きな鍵になる。

静かな影が暮らす場所を守るため、風と土の記憶にそっと寄り添う手が必要になる。