🕊️ハト4：行動と社会性 ― 群れで生きる知恵 ―

― 公園の広場で、数羽のハトが同じ方向へ歩き、同じタイミングで空へ舞い上がる。その動きは誰かが指示しているわけではないのに、ひとつの意思が流れているようだ。ハトは“群れで生きる鳥”であり、その行動には長い進化のなかで磨かれた社会性が息づいている。

単独でいるように見えても、多くの場合は近くに仲間がいて、互いの距離感と役割を読みながら行動している。餌を探すときも、寝ぐらへ向かうときも、ハトは「小さな集団」を単位として暮らしているのだ。

🕊️目次

ハトは、スズメほど密集はしないが、常に“緩やかな群れ”を保つ鳥だ。これは縄張りを強く持たず、餌場とねぐらを共有する生活スタイルから生まれている。

「まとまっているのに縛られない」― これがハトの群れの特徴だ。

ハトは仲間の動きに敏感で、ひとりが良い餌場を見つけると、周囲のハトがすぐに反応する。これは“餌の情報を共有する”という行動の現れだ。

餌を“奪う”のではなく、群れ全体で場所と時間を読み合いながら採餌する。それが生き残りの戦略になっている。

ハトの群れが一斉に飛び上がる瞬間は、まるで見えない合図が存在するように見える。実際には、わずかな気配や視線の変化を読み取って起こる反応だ。

この反応の速さは、都市でも森でも変わらない。ハトは「仲間の動き」をもっとも確かな情報源として生きている。

夕方になると、ハトは一定の方向へゆっくり飛び始める。これはねぐらへ向かう合図だ。ねぐらは毎日大きく変わることはなく、群れで共有される。

ハトにとって“帰る場所”の存在は、社会を形づくる重要な軸になっている。

仲間の気配を追うように、夕暮れの空へ静かな翼がいくつも重なっていった。