🌾 ムギ16:デュラム小麦 ― パスタを支える硬質の粒 ―

ムギシリーズ

【分類】イネ科コムギ属
【学名】Triticum durum
【原産】地中海沿岸
【特徴】硬質粒・グルテンが強く黄色いセモリナ粉
【利用】パスタ、クスクス、平麺、粗挽き加工品
【耐性】乾燥と高温にとても強い(砂漠周辺でも栽培)

デュラム小麦は、世界のパスタ文化を支えてきた硬質の小麦だ。
透明感のある黄色い粒は、製粉すると特有の「セモリナ粉」となり、
弾力と歯切れの良い食感をつくり出す。

乾燥した土地でよく育ち、地中海の食とともに歩んできた品種でもある。


🕊️ 目次


🌾 デュラム小麦の特徴 ― 硬質粒とセモリナ粉

デュラム小麦は、小麦の中でも最も硬い粒をもつ種類だ。
割るとガラスのように光を透かし、製粉すると粒の粗いセモリナ粉になる。
この粉はグルテンが強く、しっかりとした弾力をつくるため、
パスタやクスクスなどの料理に最適な素材となっている。

硬質な粒が、独特の食感と黄色い色味を生むもとになっている。


🔥 乾燥地で育つ理由 ― 強さを生む構造

デュラム小麦は、高温で乾燥した土地に非常に強い。
根が深く張り、わずかな水分でも効率よく吸収できるため、
地中海沿岸や中東のような乾いた地域で発達した。

強い日差しと乾燥に耐えるために、
粒や殻の構造がしっかりとしている点も特徴だ。
この強さが、古代から続く栽培の歴史を支えてきた。


🍝 パスタ文化とデュラム ― 食卓を変えた粒

デュラム小麦は、パスタの食文化を世界に広げた中心的な品種だ。
セモリナ粉がもつ強い弾力とコシは、茹でても崩れにくく、
ソースと絡んでも形を保つという大きな利点がある。

イタリア料理の発展、地中海地域の食卓、世界の麺文化――
そのどれにも、この硬質な粒が深く関わっている。
ひと粒が文化の味を形づくってきたと言ってもいい。


🌙 詩的一行

陽に透ける黄色い粒が、遠い海の乾いた風を思い出させる。


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