― 酸味の中に、やさしさが残る ―
| 分類 | ミカン科ミカン属(Citrus tamurana) |
| 和名 | はるか |
| 英名 | Haruka orange |
| 分布 | 日本(九州・四国・本州南部)/原産:日向夏の枝変わり |
| 樹高 | 2〜4m(常緑小高木) |
| 果実径 | 6〜8cm |
| 旬 | 2月〜4月 |
| 特徴 | 淡い黄色の果皮で、酸味が少なく甘みが柔らかい。果汁は控えめで香りが穏やか。 |
| 主産地 | 愛媛県・大分県・宮崎県など |
| 食用部位 | 果肉(生食・ゼリー・菓子) |
| 文化的利用 | 春の贈答果・家庭向け柑橘。色の淡さを活かした菓子材料。 |
🍊目次
🌿 起源と発見 ― 日向夏の枝から生まれて
はるかは、宮崎県で栽培されていた日向夏の枝変わりとして発見された。 自然発生的な変異であり、交配ではなく“枝の中で起きた変化”によって生まれた。 果実の色が淡く、酸味が穏やかだったため独立品種として登録された。 名前の「はるか」は、春に旬を迎える果実であることに由来する。
🍊 果実の特徴 ― 淡い黄色とまろやかな味
果皮は明るいレモンイエローでつやがあり、 果肉は淡い黄色を帯びる。 糖度は約11度、酸度は0.5〜0.8%と低く、 舌にやわらかな甘味が広がる。 香りは穏やかで、強い柑橘香ではなく、 ほのかな甘酸っぱさが印象に残る。 果汁は控えめで、口に含むとやさしくしっとりとした食感になる。
🌎 栽培と環境 ― 冬を越えるやわらかな木
はるかは寒さに比較的強く、冬を越えて春に収穫される。 樹勢は穏やかで、風や寒気を防ぐ環境が適している。 果実が枝に長くとどまるため、貯蔵性が高く、 酸がゆるやかに抜けて味が落ち着く。 この性質が“冬と春をつなぐ果実”としての存在を形づくる。
🥢 味わいと印象 ― やさしさの中の酸味
はるかを食べると、酸味が少ないのに口が軽くなる。 甘さが強すぎず、香りが短く消える。 そのあっさりした後味が、春の果物らしい清潔さを感じさせる。 濃厚さよりも、心を休めるような味。 “強さのない柑橘”がもつ価値を、はるかは静かに伝えている。
✒️ 詩的一行
やわらかな酸味が、冬と春をつないでいく。
コメント