🌿 チャノキ9:一番茶 ― 萌芽から新茶まで

チャノキシリーズ

― 春、畑の緑がいちどきに動きはじめる。その柔らかな光の中で、一番茶の香りはゆっくり育っていく ―

一年で最も香りが高く、旨味の深い茶――それが一番茶。萌芽(ほうが)から収穫、新茶になるまでの流れは、季節のめぐりそのもの。春の光、雨、湿度、芽の柔らかさ……そのすべてが一番茶の味を形づくる。

🌿目次

🌱 一番茶とは ― 春だけに生まれる特別な茶

一番茶とは、その年に最初に伸びた春の新芽だけでつくる茶のこと。

  • 旨味(テアニン)が豊富
  • 渋み(カテキン)がまだ少ない
  • 香りが若く瑞々しい

一年でもっとも風味が整った“旬の茶”。

🌿 萌芽(ほうが) ― 春の芽が開く瞬間

萌芽は、冬芽がほころび、淡い黄緑色の葉が開く瞬間。細胞は若く、テアニンを多く含む。

  • 芽は柔らかい
  • 色は淡いレモン緑
  • 水分が多い

この“柔らかい瞬間”が一番茶の核。

🍃 芽の成長 ― 旨味がのる“柔らかい時期”

一番茶の芽は数日〜数週間で伸びる。この期間は――

  • テアニン:多い
  • カテキン:少ない
  • 細胞が薄く香りが立ちやすい

柔らかさ=甘み・香りの量。

✂️ 摘採(てきさい) ― 一番茶の適期を逃さない

芽が“若くてほどよく厚い”瞬間が適期。

  • 若すぎ → 香り弱い
  • 成長しすぎ → 渋み強い

農家は毎日畑を見て摘採日を決める。

🍵 新茶になるまで ― 加工と香りの立ち上がり

摘んだ新芽はその日のうちに加工される。

  • 蒸し:酸化を止める
  • 揉み:細胞を開き香りを出す
  • 乾燥:成分を安定

若い香り(青葉香)が最も引き立つ。

🌙 詩的一行

柔らかな緑が光をため、春の香りが一枚の葉にそっと形をとる。

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