― 春、畑の緑がいちどきに動きはじめる。その柔らかな光の中で、一番茶の香りはゆっくり育っていく ―
一年で最も香りが高く、旨味の深い茶――それが一番茶。萌芽(ほうが)から収穫、新茶になるまでの流れは、季節のめぐりそのもの。春の光、雨、湿度、芽の柔らかさ……そのすべてが一番茶の味を形づくる。
🌿目次
- 🌱 一番茶とは ― 春だけに生まれる特別な茶
- 🌿 萌芽(ほうが) ― 春の芽が開く瞬間
- 🍃 芽の成長 ― 旨味がのる“柔らかい時期”
- ✂️ 摘採(てきさい) ― 一番茶の適期を逃さない
- 🍵 新茶になるまで ― 加工と香りの立ち上がり
- 🌙 詩的一行
🌱 一番茶とは ― 春だけに生まれる特別な茶
一番茶とは、その年に最初に伸びた春の新芽だけでつくる茶のこと。
- 旨味(テアニン)が豊富
- 渋み(カテキン)がまだ少ない
- 香りが若く瑞々しい
一年でもっとも風味が整った“旬の茶”。
🌿 萌芽(ほうが) ― 春の芽が開く瞬間
萌芽は、冬芽がほころび、淡い黄緑色の葉が開く瞬間。細胞は若く、テアニンを多く含む。
- 芽は柔らかい
- 色は淡いレモン緑
- 水分が多い
この“柔らかい瞬間”が一番茶の核。
🍃 芽の成長 ― 旨味がのる“柔らかい時期”
一番茶の芽は数日〜数週間で伸びる。この期間は――
- テアニン:多い
- カテキン:少ない
- 細胞が薄く香りが立ちやすい
柔らかさ=甘み・香りの量。
✂️ 摘採(てきさい) ― 一番茶の適期を逃さない
芽が“若くてほどよく厚い”瞬間が適期。
- 若すぎ → 香り弱い
- 成長しすぎ → 渋み強い
農家は毎日畑を見て摘採日を決める。
🍵 新茶になるまで ― 加工と香りの立ち上がり
摘んだ新芽はその日のうちに加工される。
- 蒸し:酸化を止める
- 揉み:細胞を開き香りを出す
- 乾燥:成分を安定
若い香り(青葉香)が最も引き立つ。
🌙 詩的一行
柔らかな緑が光をため、春の香りが一枚の葉にそっと形をとる。
コメント