【部位】茎(枝・幹・木質部)
【特徴】低い樹形/多くの枝が扇状に広がる
【剪定】茶畑では1m前後で仕立て、収穫しやすい高さに調える
【木質化】年齢に伴い幹が硬くなり、養分通路が安定
【役割】新芽を生む土台/光合成の効率を左右する骨格
【樹齢】数十年〜100年以上の株も存在
― 低く、広く、静かに広がる枝の下で、季節ごとの光がゆっくり木のかたちをつくっていく ―
チャノキの茎や枝は、茶畑の風景そのものを形づくる。
低い高さで刈りそろえられた丸い畝(うね)は、すべて新芽を均一に育てるための樹形だ。
幹が年ごとに木質化し、骨格がしっかりしてくると、安定した香りの茶が育つ。
🌿目次
- 🌱 茶畑の形は茎が作る ― 低く仕立てる理由
- 🌞 光と樹形 ― 扇状に広がる枝の役割
- 🪵 木質化とは ― 幹が強くなる仕組み
- ✂️ 剪定が茶の品質を決める ― 更新と維持
- 🌳 樹齢と香り ― 古木が育てる深い味
- 🌙 詩的一行
🌱 茶畑の形は茎が作る ― 低く仕立てる理由
チャノキは放っておくと3m以上の「木」になる。
しかし茶畑では、高さ1m前後で丸く刈りそろえられている。
これは新芽を均一に揃え、摘採しやすくするためだ。
- 均一な高さ → 新芽がそろう
- 光がまんべんなく当たる
- 収穫効率が高まる
茶畑の「丸い緑の帯」は、実は茎そのものの形を整えた姿なのだ。
🌞 光と樹形 ― 扇状に広がる枝の役割
チャノキは、光を効率よく受けるために枝を扇状に広げる性質がある。
茶畑ではこの性質を活かし、枝を密に重ねすぎないよう管理する。
- 枝の重なりすぎは蒸れや病気の原因
- 適度な間隔が新芽の成長を助ける
- 光が届くと芽の色と香りが安定する
茎の配置だけで、茶葉の質が驚くほど変わる。
🪵 木質化とは ― 幹が強くなる仕組み
チャノキの幹は、年齢とともに木質化(もくしつか)してゆく。
柔らかい若木の幹が硬くなり、栄養や水分の通り道が安定する現象だ。
・古い木ほど安定した成分をつくる
・香りが深く、落ち着いた茶になる
・根と幹のバランスが整う
木質化は「古木茶」の魅力を支える骨格そのものだ。
✂️ 剪定が茶の品質を決める ― 更新と維持
チャノキは、剪定をしなければ品質が落ちてしまう。 古い枝を更新し、新しい芽を出しやすくするために、茶農家は細やかに茎を整える。
- 浅刈り:芽の出る位置を揃える
- 深刈り:古い枝を更新し、樹勢を取り戻す
- 台刈り:老木を若返らせる大規模更新
剪定は、香り・渋み・旨味そのものをデザインする作業と言える。
🌳 樹齢と香り ― 古木が育てる深い味
古いチャノキは、新しい木には出せない“深さ”を持つ。
木質化が進んだ幹は、成分が落ち着き、味も丸く複雑になる。
- 若木:香りは明るく軽快
- 古木:香りは深く落ち着く
樹齢はそのまま、茶の個性になる。
🌙 詩的一行
静かに木質を深めながら、茎は新しい季節の芽が出る場所を守っている。
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