🦐 伊勢エビの減少と、養殖魚に広がる病気リスク

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伊勢エビが獲れない海へ
― 養殖マダイなどで病気が拡大、沿岸が揺らぐ(2025年11月)

秋から冬にかけて水揚げのピークを迎えるはずの伊勢エビが、今年は各地で目に見えて少ない。
「刺し網にほとんど入らない」「水深を変えても出会えない」――
漁師たちの声は例年と違う海を示している。

■ 全国的に落ち込む伊勢エビの水揚げ

南九州から四国・紀伊半島にかけて、今年の伊勢エビ漁は各地で減少傾向が報じられている。
不漁の原因として考えられているのは、

・夏の海水温の上昇
・幼生の成育環境の悪化
・海藻・エサ環境の変化
・黒潮の蛇行による潮流の乱れ

幼い伊勢エビは海藻に身を隠して成育するが、
海水温が高い年は海藻の衰退(磯焼け)が広がり、幼生が生き残りにくくなる。

■ 養殖魚では“病気の流行”が問題に

同じ沿岸で養殖されるマダイやブリなどでも、感染症の増加が漁協から報告されている。
とくに今年は夏以降、

・ビブリオ感染症(高水温で増える)
・連鎖球菌症(ストレスで悪化)
・腸炎症状の多発

といった病気が目立ち、
養殖業者の間では「例年よりも治療が難しい」との声も上がっている。

■ 海の環境は“ひとつながり”

伊勢エビの不漁と、養殖魚の病気。
一見別々のように見えて、背景には同じ海洋環境の変化がある。

水温、潮の流れ、海藻の分布、プランクトンの種類。
海の条件が少し変わるだけで、そこに生きる生き物たちは大きく揺らぐ。

今年の海で起きていることは、
ゆっくりと、しかし確実に沿岸の生き物たちの暮らし方を変えているのかもしれない。

🌊 せいかつ生き物図鑑・国内ニュース編
― 沿岸の変化を見つめる観察記 ―

出典:地方漁協発表(2025年11月)/漁業者聞き取り/水産研究所データ

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