高山で進む“紅葉の色あせ”と日本の秋のゆらぎ
朝の山に、かすかな色の違いがある。
それは季節が少しだけ迷っているように見えた。
国立環境研究所の発表によると、
温暖化の影響で高山の紅葉が年々淡くなっているという。
秋の訪れが早まり、気温の高い日が続くことで、
葉のアントシアニン(赤色素)の生成が抑えられ、
鮮やかな赤や橙が出にくくなっているそうだ。
この現象は、長野や岐阜などの山岳地帯でも観測され、
紅葉シーズンが短く、色のピークがぼやける傾向がある。
「今年の紅葉は遅い」と人は言うが、
山にとっては、ただ季節のバランスが変わっただけなのかもしれない。
紅葉は、光と冷気と時間の対話だ。
そのどれかが欠けても、
あの一瞬の輝きは生まれない。
だからこそ、今年の淡い色にも、
静かな呼吸が宿っているように見えた。
🍁 せいかつ生き物図鑑・地方編
― 四季をめぐる観察記 ―📖
コメント