🎐 タケ10:ハチク ― しなやかな竹の実用性 ―

🌿 基礎情報

  • 分類:イネ科 タケ亜科 マダケ属
  • 和名:ハチク(淡竹)
  • 学名:Phyllostachys nigra var. henonis
  • 分布:原産:中国/日本各地に古くから定着
  • 生育環境:里山・河岸・集落周辺
  • 高さ:10〜15m前後
  • 稈径:5〜8cm前後
  • 地下茎:走出型(拡大は比較的穏やか)
  • タケノコ:初夏・えぐみが少ない
  • 用途:竹細工・農具・日用品
  • ポイント:軽く、扱いやすい生活密着型の竹

春の盛りを過ぎ、初夏の気配が近づくころ、静かに地面を割って現れるタケノコがある。ハチクの芽は、モウソウチクほど勢いよくはないが、遅れて出てくる分、えぐみが少ない。

ハチクは、目立たないが確実に使われてきた竹だ。太すぎず、重すぎず、日々の作業にちょうどよい。その「ほどよさ」が、この竹の価値をつくっている。

🎐目次

🌿 1. ハチクとはどんな竹か ― 軽く、淡い姿

ハチクの稈は、やや白みを帯びた緑色をしている。全体に軽やかで、林に立つ姿も明るい。

  • 質感:軽く、薄い。
  • 色:淡い緑。
  • 印象:風通しのよい竹林。

重さを感じさせない佇まいは、竹林全体の雰囲気をやわらかくする。

🏞️ 2. 生育と性質 ― 穏やかな更新

ハチクも走出型地下茎を持つが、拡大力は強くない。

  • 更新:ゆっくり。
  • 管理:放置でも急拡大しにくい。
  • 適地:人里近く。

人の生活圏と衝突しにくい性質が、長く共存できた理由でもある。

🍃 3. 人との関係 ― 初夏のタケノコと日用品

ハチクのタケノコは、モウソウチクより遅れて出る。

  • 旬:5〜6月。
  • 味:えぐみが少ない。
  • 用途:煮物・炒め物。

稈は、軽さを活かして農具や日用品に使われてきた。力仕事より、手仕事に向く竹だ。

🔎 4. マダケとの違い ― 並べて使われた竹

ハチクとマダケは、用途に応じて使い分けられてきた。

  • 太さ:マダケ > ハチク。
  • 軽さ:ハチクが上。
  • タケノコ:時期が異なる。

二つの竹が並ぶことで、里山の利用は一年を通して続いた。

🌙 詩的一行

ハチクは、暮らしの手のひらに収まる。

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