海で魚が獲れるかどうかは、
魚の数だけで決まるわけではない。
もっと手前に、
目に見えない段階がある。
植物プランクトンは、
漁業という営みの、
最も静かな基盤だ。
🌱 目次
🎣 1. 漁業の出発点としての一次生産
魚は、
突然海に現れるわけではない。
卵が生まれ、
仔魚が育ち、
その過程で、
大量のエネルギーを必要とする。
そのエネルギーの出発点が、
植物プランクトンによる一次生産だ。
動物プランクトンがそれを食べ、
仔魚がそれを追い、
魚が育つ。
漁業は、
この連なりの最終段階に過ぎない。
🌊 2. 豊かな海と植物プランクトン
「魚がよく獲れる海」は、
多くの場合、
植物プランクトンが安定して生産されている。
沿岸の湧昇域、
栄養が供給される海域では、
珪藻を中心とした一次生産が活発になる。
その結果、
動物プランクトンが増え、
仔魚の生残率が上がる。
漁場の良し悪しは、
目に見えない植物プランクトンの量と質に、
強く依存している。
📉 3. 見えない変化が漁獲を左右する
植物プランクトンの変化は、
すぐに漁獲量として現れない。
数か月、
あるいは数年後に、
「魚が減った」という形で表れる。
水温の変化、
栄養の流れの変化、
種構成の入れ替わり。
それらは、
漁業者の努力では、
直接どうすることもできない。
それでも、
海の基盤が変わったという事実だけは、
確実に影響を及ぼす。
⚖️ 4. 管理できないものとの付き合い方
植物プランクトンは、
人間が管理できる資源ではない。
増やそうとして増えるものでもなく、
減らそうとして止められるものでもない。
だからこそ、
漁業は、
植物プランクトンを直接扱わない。
代わりに、
その変化を読み、
それに合わせて、
獲り方や時期を調整してきた。
漁業とは、
制御ではなく適応の技術なのだ。
🌙 詩的一行
獲る前に、すでに海はつくっていた。
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