🦗鈴虫11:風情という感覚 ― “儚さ”を聴く耳

スズムシシリーズ

― 消えゆくものの美しさ ―


🗂目次


🍂風情のこころ

風情とは、
形ではなく“感じ取る力”のこと。

鈴虫の声に秋を聴き、
消えていく音に美を見出す。

それは、変わりゆくものを恐れず、
その一瞬を愛する心だ。

日本人は古くから、
“終わり”をもって季節を知り、
“静けさ”をもって美を見てきた。


🌙音と無常

鈴虫の声は永く続かない。
それを知っていながら、
人は耳を澄ます。

この「いつか消える音」を聴くことに、
無常を受け入れる静かな哲学がある。

音が消えたあと、
そこに残るのは寂しさではなく、
生きていた証のような余韻だ。


💫静けさの中の美

本当の美は、
“何も鳴らない”ときに現れる。

鈴虫の声が止まった夜、
その余白に心が動く。

音と音のあいだに漂う静けさが、
人の感情を深める。

風情とは、
耳で感じる沈黙のことなのかもしれない。


🕯受け継がれる耳

現代の都市では、
鈴虫の声を聴く機会は少なくなった。

けれど、
人の中にはまだ“聴く耳”が残っている。

録音でも、記憶でもなく、
風や夜の空気の中で聴く声。

その感覚が途絶えない限り、
風情は生き続ける。


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