🌳シイカシ18:アラカシ ― 都の緑を支える木 ―

シイカシシリーズ

コンクリートの隙間から、
緑の影がのぞいている。
それは遠い森の記憶を抱いた木――
アラカシ。


🌿 姿と強さ

アラカシは、灰褐色の幹と厚い葉をもつ常緑樹。
スダジイよりも乾燥や寒さに強く、
都市部の植栽としてよく見られる。
枝ぶりは整いやすく、刈り込みにも耐える。
その丈夫さから、街路樹・庭木・神社林まで、
幅広く人の暮らしを支えてきた。

強い日射や排気にも耐えるその姿は、
現代の森の生き残りといえる。


🌾 都の森

アラカシの並木は、
ビルの谷間でも小さな森をつくる。
風を受け、鳥を呼び、
雨をやわらげ、土を守る。
人が忘れかけた“森の機能”を、
街の中でそっと果たしている。

その下を通ると、
ふと涼しい空気を感じることがある。
それは、森の呼吸が
まだこの街に残っている証だ。


🍃 過去からの贈り物

アラカシは古くから生活木でもあった。
薪、炭、器、そして社の柱。
時代が変わっても、
人のそばに在り続けてきた。

都会の片隅に立つ一本のアラカシは、
過去と今をつなぐ“記憶の木”。
それは、森の記憶が
まだ人を見守っているということだ。


🌙 詩的一行

街の風の中にも、森は息をしている。

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