森のはずれに、ひっそりと立つ木がある。
大きくもなく、小さくもない。
風に葉を揺らすたび、
かすかな光が枝のあいだからこぼれる。
🌿 姿と性格
ツブラジイはスダジイに似るが、
葉が小さく、全体に繊細な印象をもつ。
樹皮は淡い灰褐色でなめらか、
幹はやや細く、枝先が軽やかに伸びる。
海沿いや低地の森に多く、
風や塩にも強い。
強靭でありながら、
どこか控えめな常緑だ。
🌾 人のそばの木
ツブラジイの森は、人の暮らしに近い場所に多い。
古い社や墓地、里山の端。
その静けさが、
人の記憶とともに残ってきた。
木材は硬く、
家の柱や道具にも使われてきた。
けれど派手ではなく、
暮らしの中に溶ける木だった。
🌰 小さな実り
ツブラジイの実は小さいが、
甘みがあり、動物たちに人気がある。
風の少ない森で静かに熟し、
やがて落ちて、新しい命になる。
その実りは派手ではないが、確かに豊かだ。
🌙 詩的一行
静かな木ほど、森の時間を知っている。
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