世界の鳥類61%が減少へ(2025年10月29日)
朝の空に、羽ばたく音が少し減った気がする。
世界各地で鳥たちの群れが年々小さくなっているという。
最新の報告によれば、地球上の鳥類の61%が個体数を減らしている。
9年前の調査では44%だった。
たった十年で、空の豊かさがここまで失われた。
原因は一つではない。
森林の伐採による繁殖地の喪失、
農地の拡大による餌場の減少、
そして気候変動が生態のリズムを乱している。
気温の上昇で渡りの時期がずれ、
雛が孵るころには虫がもういない――
そんな微かな“季節のずれ”が、
鳥たちの命の連鎖を静かに崩している。
鳥は、ただ飛ぶだけの存在ではない。
種子を運び、花粉をつなぎ、
森を広げる役割を持つ。
その一羽が消えるたび、
森の未来がひとつ閉じていく。
研究者たちは警鐘を鳴らしているが、
空の変化はゆっくりで、私たちの目には映りにくい。
だからこそ、見えなくなったものを想像する力が必要だ。
電線の上で羽を休めていた小さな影、
田んぼを渡る渡り鳥の声。
それらを覚えているうちに、
空ともう一度向き合う時期が来ているのかもしれない。
空の静けさは、終わりではない。
まだ飛び続ける群れもいる。
その翼の音を、もう一度確かめよう。
わたしたちの未来も、
その羽ばたきの延長線上にあるのだから。
🌏 せいかつ生き物図鑑・世界編
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