― 夏から秋にかけて遡上する代表種 ―
🐟 基本情報
- 和名:カラフトマス
- 学名:Oncorhynchus gorbuscha
- 分類:サケ科サケ属
- 体長:約45〜60cm(サケ類では小型)
- 分布:北太平洋・オホーツク海沿岸
- 生態:海で育ち、2年周期で故郷の川へ戻る回遊魚
- 遡上期:主に夏〜初秋
概要
カラフトマスはサケ属の中でも最も小型で、2年周期の生活史を持つことが特徴である。夏から秋にかけて沿岸へ近づき、河川へ遡上する。体型や婚姻色の変化は顕著で、特に雄の背の隆起はよく知られている。ここでは、カラフトマスの生活史と遡上時の特徴をまとめる。
🌊 海から川へ
カラフトマスは海で約1年半ほど成長し、成熟が進むと沿岸へ接岸する。接岸期は地域によって異なるが、日本では夏が中心である。外洋では小魚や動物プランクトンを食べ、成長に必要な栄養を蓄える。
沿岸へ近づくと体色が少しずつ変化し、銀白色だった表面に暗い色が混ざりはじめる。これは川に入るための準備として、体の負荷が高まる時期でもある。
🧭 遡上と行動
遡上は潮位の変化と雨量の影響を強く受ける。川の水量が増えたタイミングで一斉に遡上しやすく、流速のある区間でも群れを作って進む。
カラフトマスは遡上距離が比較的短い河川に適応しており、上流まで長距離を遡る種ではない。そのためエネルギー配分は「短距離に集中した遡上」に向いている。
🐟 体の変化
婚姻期になると雄は背が大きく盛り上がり、口が曲がる「カーブド・ジョー」が現れる。この変化は種特有で、産卵場での競争に関わる生態的特徴である。
雌は腹部が丸くなり、河床の砂利を掘る行動に備えた体型となる。海では摂餌が活発だった個体も、川に入ると摂餌を止め、体のエネルギーを遡上と産卵に使う。
🌱 産卵と生活史
産卵は川の浅瀬で行われる。雌は尾で砂利を掘り、産卵後には砂をかけて保護する。雄は周囲を巡りながら受精の機会を狙う。
孵化した稚魚は川にとどまる期間が短く、すぐに下流へ移動して海へ出る。これがカラフトマスの2年周期の生活史に結びついている。
🌙 詩的一行
短い夏の流れの中で、カラフトマスは静かに季節をつないでいた。
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