海の中に、森がある。
揺れる葉、絡む茎、光の届く層。
昆布やケルプがつくる海藻の森は、
多くの生き物にとって、
隠れ家であり、餌場であり、成長の場所だ。
ラッコは、この森の管理者ではない。
だが、その食事の選択が、
結果として森の行方を左右してきた。
🦦 目次
🌿 1. 昆布林とは何か ― 海の森の正体
昆布林(ケルプフォレスト)とは、
大型の海藻が密生してできる立体的な群落のことだ。
岩に根を張り、
上へ、横へと葉を伸ばすことで、
海中に複雑な空間をつくる。
この空間には、
小魚、無脊椎動物、幼生など、
多くの命が集まる。
昆布林は、
単なる植物の集まりではなく、
沿岸生態系の基盤だ。
🦔 2. ウニが増えると何が起きるか
ウニは、海藻を食べる。
適度な数であれば、
昆布林は維持される。
だが、捕食者がいなくなり、
ウニが増えすぎると、状況は変わる。
ウニは根元から海藻を削り、
森は消え、
岩だけが残る。
この状態は、
「ウニ場」と呼ばれることもある。
一度失われた昆布林は、
回復に時間がかかる。
🦦 3. ラッコという介入
ラッコは、ウニを食べる。
それは環境を守るためではなく、
生きるための選択だ。
だがその捕食が、
ウニの数を抑え、
昆布林の回復を助ける。
ラッコがいる海域では、
海藻の森が残りやすく、
いない海域では、
森が消えやすい。
この関係は、
多くの沿岸で繰り返し観察されてきた。
ラッコは、
意図せずして、
生態系の流れに介入する存在になっている。
🌊 4. 森が残ることで広がる影響
昆布林が残れば、
そこに集まる生き物も増える。
小魚が隠れ、
それを狙う魚が集まり、
さらに上位の捕食者が現れる。
海藻は、
波の力を弱め、
海底の安定にも寄与する。
ラッコがウニを食べるという、
小さな行動の積み重ねが、
沿岸の景色を立体的に保ってきた。
🦦 詩的一行
ラッコは、森を守ろうとせずに、森を残してきた。
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