🐈ネコ13：家畜化と人間との歴史 ― 農村から都市へ ―

ネコが人とともに暮らすようになったのは、他の家畜と比べれば驚くほど自然な流れだった。人が穀物を蓄えるようになり、その穀物にネズミが集まり、そのネズミを追ってネコが近づいた―― このゆるやかな接触が、家畜化の始まりだったと考えられている。

ネコは、人が強制的に飼い慣らした動物ではなく、 「互いに利益を得るかたちで人の生活圏へ入った動物」である。この独特の距離感こそが、長い歴史を通じて人とネコの関係を形づくってきた。

🐈目次

人類が農耕を始め、穀物を貯蔵するようになると、そこにネズミが集まり、さらにネズミを狙うヤマネコが現れた。この三者の関係が、家猫誕生の最初の舞台となった。

この時点ではまだ家畜化というより、「お互いに利益を得るゆるい同居関係」に近かった。

農耕社会が発展し、人が交易を行うようになると、ネコは“船の上の捕食者”として重宝された。

こうしてネコは、人が移動するところに自然と現れる、 “世界を渡る小さな捕食者”となった。

農村でのネコは、家畜というより、 田畑や家屋を守る存在として重要だった。

この関係は、犬のような密接な家畜化とは異なる、 「ゆるい共存」として長く続いた。

都市が形成されると、ネコはそこでも順応した。ゴミ捨て場、食品市場、家の周辺―― 食物が集まる場所には必ずネコの姿が見られた。

都市のネコは、人間社会の「すぐそばにいる野生」として、独特の位置を確立していく。

古い石畳のすみで、静かな影がひっそりと続いていった。