🍁 モミジ5:春のモミジ ― 芽吹きと若葉の季節 ―

モミジシリーズ

春のはじまりは、花よりも先に、木の内部で起こる。
地温が上がり、日照が伸び、枝の先で準備が進む。

モミジの春は、静かだ。
桜のように一斉に目を引くことはない。
けれど、芽がふくらみ、若葉が開く過程には、確かな季節の移行が刻まれている。

春のモミジは、次の秋のために生きている。
葉を広げ、光を受け、内部を整える時間だ。

この章では、
芽吹きから若葉が揃うまでの春のモミジを見ていく。

🍁 目次

🌱 1. 芽吹き ― 冬から春への切り替え

冬のあいだ、モミジの芽は固く閉じられている。
内部には、葉や花の原基がすでに形成され、低温の中で待機している。

  • 条件:気温の上昇と日照時間の増加
  • 反応:休眠の解除
  • 結果:芽鱗が開き、成長開始

芽吹きは一斉ではない。
枝の位置や日当たりによって、数日から一週間ほど差が出る。

このばらつきが、
春の樹冠に奥行きを与える

🍃 2. 若葉の色 ― 赤みを帯びる理由

モミジの若葉は、明るい緑ではなく、
赤みや銅色を帯びて展開することが多い。

  • 色:赤褐色〜淡紅色
  • 要因:アントシアニンの一時的な生成
  • 役割:強光や低温からの保護

この赤みは恒常的なものではない。
葉が成熟するにつれて、緑へと移行していく。

春の赤は、
弱い若葉を守るための色だ。

🌤 3. 春の光と葉 ― 展開の速度

葉の展開速度は、春の気候に大きく左右される。
暖かく穏やかな年は、葉が揃うまでの時間が短い。

  • 気温:高いほど展開が早い
  • 日照:安定すると葉が均一に開く
  • 霜:遅霜は若葉に影響を与える

急激な展開は、霜害や乾燥のリスクも伴う。
モミジは、気候の揺れを受けながら、無理のない速度で葉を広げる。

🧬 4. 花と同時進行 ― 目立たない開花

モミジは、葉の展開とほぼ同時に花を咲かせる。
ただし、花は小さく、目立たない。

  • 花:淡黄緑色の小花
  • 受粉:風・昆虫の併用
  • 位置:新葉の付け根付近

花は、春の主役ではない。
確実に受粉し、実を結ぶための最低限の構造だけを持つ。

モミジの春は、
装飾よりも準備を優先する季節だ。

🍁 詩的一行

モミジの春は、静かに整えられ、秋へと続いていく。

🍁→ 次の記事へ(モミジ6:夏のモミジ)
🍁← 前の記事へ(モミジ4:幹・枝・樹形)
🍁→ モミジシリーズ一覧へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました