モミジは、ただ眺められるだけの存在ではなかった。
人はその姿を言葉にし、季節として残してきた。
赤く染まる盛りの時期よりも、
散り始め、色が褪せ、地に積もる瞬間。
和歌や俳句がとらえてきたのは、
変化の途中にあるモミジだった。
この章では、
日本の詩歌においてモミジがどのように詠まれてきたかを見ていく。
🍁 目次
📜 1. 和歌に詠まれたモミジ ― 色づく山
和歌において、モミジは山の象徴として現れる。
人里から少し離れた場所で、
季節が先に移ろう存在だ。
「もみづる」「紅葉葉」といった語は、
色そのものより、
山が変わっていく様子を示している。
和歌は、
モミジを通して、
季節の進みを確かめていた。
🍂 2. 散り際という視点 ― 盛りの外側
満開や最盛期よりも、
和歌が多く扱ったのは、
散り始めや色あせの場面だ。
枝を離れ、
風に舞い、
地に積もる葉。
そこには、
続かないものへのまなざしがある。
モミジは、
移ろいを語る素材として選ばれてきた。
✒️ 3. 俳句のモミジ ― 一瞬を切り取る
俳句では、
モミジはより具体的な場面と結びつく。
踏みしめる音、
水に浮かぶ葉、
夕暮れの色。
一句の中で、
その瞬間だけのモミジが立ち上がる。
長く語らず、
残すのは気配だけだ。
🕊 4. モミジが担った季語の役割
モミジは、
秋の季語として定着している。
一語で、
時期、温度、光の低さまで伝える。
季語としてのモミジは、
共有された季節感の装置だった。
言葉を通して、
人は同じ秋を思い描くことができた。
🍁 詩的一行
モミジは、散りながら、言葉の中に残ってきた。
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