🐝ミツバチ19:減少する蜂たち ― 里山と農の変化

ミツバチシリーズ

― 羽音が少しずつ減ると、風景の奥にある“変化”が静かに姿を見せてくる ―

ミツバチは、里山と畑のあいだを結ぶ小さな働き手。 その数が減ると、季節の巡り、野の花、農作物の実り――すべてのリズムが揺らぎ始める。 原因はひとつではなく、土地・気候・農の変化が重なり合った結果だ。 羽音の減少は、風景そのものの“弱まり”を知らせる合図でもある。


🐝目次


🌤 環境変化 ― 気候の揺れが蜂のリズムを乱す

気温の乱れ、急激な暑さ、長雨――気候変動はミツバチの行動そのものを変えてしまう。 花が咲く時期と蜂が飛ぶ時期がずれると、受粉のタイミングが合わなくなる。

・春の立ち上がりが遅れる
・夏の高温で外勤が減る
・冬越しが難しくなる

自然界の“季節の鍵合わせ”が少しずつ狂うことで、蜂のリズム全体が弱っていく。


🌾 土地利用の変化 ― 里山が細り、花が減る

昔の里山は、田・畑・雑木林・草地がゆるやかにつながり、ミツバチにとって理想的な風景だった。 しかし近年、耕作放棄地の増加、森林の一斉管理、都市化によって、花のあるモザイク状の景色が失われている。

・花の途切れ
・蜜源の減少
・飛ぶ範囲が狭まり、巣の維持が難しくなる

風景の豊かさが薄れると、ミツバチの生活もまた薄くなっていく。


🧪 病気と農薬 ― 見えないストレスの積み重ね

巣を弱らせる病気、外来病原体、そして農薬の影響――ミツバチは小さな体で多くのストレスを受けている。

・病気:ダニ、ウイルス、細菌
・農薬:ネオニコチノイド系など
・複合ストレスで巣全体が沈む

一つひとつは小さな負担でも、積み重なると巣の維持が難しくなる。


🌼 多様性が崩れるとき ― 花の減少がもたらす影響

ミツバチは“多様な花”がある環境をもっとも得意とする。 草地、雑木林、田んぼのあぜ道……季節ごとに違う花が咲く風景は、蜂の生活そのものを支える。

・単一作物が続く畑では蜜源が極端に限られる
・野生の花が消えると、季節間のつながりが途切れる
・花の多様性が巣の強さと直結する

花が減るということは、蜂の一年の糧が細るということ。 風景の多様性は、そのまま蜂の生命線になる。


🚜 農と自然の関係 ― 羽音が消える未来を防ぐには

蜂を守ることは、農業と自然を同時に守ることにつながる。 そのためには、土地の使い方や管理の仕方を変える必要がある。

・里山の再生
・農薬の使用を見直す
・花の帯をつくる
・多様な植生の回復
・養蜂家との協力

蜂が戻る風景は、人にも豊かさをもたらす。 羽音が続く場所には、未来へつながる農の姿が静かに息づいている。


🌙 詩的一行

羽音が戻る風景は、畑と里山がふたたび手を取り合う場所にある。


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