― かむほどに、酸味が立ちのぼる ―
| 分類 | ミカン科ミカン属(Citrus hassaku) |
| 和名 | 八朔(ハッサク) |
| 英名 | Hassaku orange |
| 分布 | 日本(主に広島県・和歌山県など)/原産:日本国内での偶発実生 |
| 樹高 | 3〜5m(常緑小高木) |
| 果実径 | 8〜10cm |
| 旬 | 1月〜3月 |
| 特徴 | 果皮厚く歯ごたえがあり、酸味とほろ苦さが特徴。果汁はやや少なめ。 |
| 主産地 | 広島県(尾道市因島)・和歌山県 |
| 食用部位 | 果肉(生食・サラダ・マーマレード) |
| 文化的利用 | 広島県因島の特産。初春の贈答果としても人気。 |
🍊目次
🌿 起源と広がり ― 因島の偶然から
八朔は、江戸末期に広島県因島で偶然生まれた柑橘。 原木は現在も保存されている。 「八朔」の名は、旧暦の八月朔日(はっさく)頃に食べられることからついた。 以後、西日本の沿岸地域で栽培が広まり、 冬から春にかけての果実として定着した。
🍊 果実の特徴 ― 歯ざわりと苦み
果皮は厚く、手ではむきにくいが包丁で切ると果肉がはっきり現れる。 房の膜はしっかりしていて、噛むと弾力がある。 果汁はやや少なめだが、酸味とほろ苦さが後味に残る。 糖度は約11度前後、酸度は1.2%前後。 苦み成分ナリンギンが独特の爽快感を生み、 その歯ごたえと香りが、他の柑橘にはない個性をつくっている。
🌎 栽培環境 ― 温暖な島の気候
瀬戸内海沿岸の穏やかな気候が、八朔の育つ環境を支えている。 寒さに弱いため、冬でも霜が降りにくい地域が適地。 島の段畑や傾斜地で風を防ぎ、 果実に日光が均等に当たるよう工夫されている。 収穫は1月から3月にかけて行われ、 収穫後しばらく貯蔵することで酸味が落ち着き、味が丸くなる。
🥢 味わいと利用 ― 苦みをたのしむ果実
八朔はその歯ごたえと苦みを活かして、生食だけでなくサラダやデザートにも使われる。 果皮はマーマレードやピールにも適しており、 ほろ苦さが甘味と合わさると風味が引き立つ。 他の柑橘にない「かむ楽しさ」が、八朔の魅力である。
✒️ 詩的一行
噛むたびに、春を待つ酸味がひらく。
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