🍊ミカン19:果実のめぐり ― 種から芽へ ―

ミカンシリーズ

― 果実の中には、次の季節の設計図がある ―


🍊目次


🌱 種の中の時間 ― 眠りと発芽

果実の中にある種は、乾燥と冷えを越えて静かに眠る。 一定の温度と湿度が整うと、芽が動き出す。 発芽には数週間から数か月。 そのあいだ、外から見えない変化が進んでいる。 命の始まりは、音もなく行われる準備だ。


🌿 苗の成長 ― 光と根の選択

芽は光へ、根は水へ向かう。 その方向を決めるのは、外の刺激と内の記憶。 ミカンの苗は、最初の数年で根を深く張る。 枝が伸びるより先に、地中の準備をする。 やがて細い幹が固くなり、葉が増え、 ひとつの木として立ち上がる。


🍊 世代のめぐり ― 栽培と継承の現場

農家では、優れた木から枝を接ぎ木して増やす。 同じ性質を保ちつつ、土地に合う根を選ぶ。 こうして果実の味も形も、ゆるやかに受け継がれてきた。 自然の循環と人の手の工夫が、 同じ時間の中で重なりあっている。 種も枝も、それぞれのやり方で次を残す。


✒️ 詩的一行

土の中の静けさが、次の実りを支えている。


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