🍊ミカン18:農家の四季 ― 手でつむ果実の時間 ―

ミカンシリーズ

― 果実をつむ手が、季節の記録を残す ―


🍊目次


🌱 春 ― 花と剪定のはじまり

春、枝先に白い花が咲く。 農家の一年は、この花の数を数えることから始まる。 咲きすぎた枝を剪定し、風が通るように整える。 香りの漂う畑の中で、 その年の果実の姿がもう見えている。 作業は静かだが、自然との会話が続いている。


🌞 夏 ― 果実を育てる日々

夏は、実が太りはじめる時期。 日照りと台風の間で、農家は木を守る。 摘果と追肥、灌水、草刈り。 暑さに汗を流しながら、枝の一本一本を確かめる。 果実は静かに膨らみ、色づく準備をしている。 この時期の手入れが、冬の味を決める。


🍂 秋から冬 ― 収穫と暮らしの手

秋、果実が色を帯びる。 手でひねるように枝から外し、一つずつ箱に詰める。 指先に伝わる重みで、熟度を見分ける。 収穫が終わると、畑は静かになる。 冬の陽射しのなか、農家の人々は手を休め、 木の間を見上げて来年を思う。 この繰り返しが、土地の時間を育ててきた。


✒️ 詩的一行

果実を支える手が、季節の形を覚えている。


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