― 時をかけて変わる、同じ木の味 ―
| 分類 | ミカン科ミカン属(Citrus unshiu) |
| 和名 | 早生・晩生温州(わせ・おくてうんしゅう) |
| 英名 | Early / Late maturing Satsuma |
| 分布 | 日本各地(早生は全国的、晩生は温暖地中心) |
| 樹高 | 2〜4m(常緑小高木) |
| 果実径 | 5〜8cm |
| 旬 | 早生:10月〜11月/晩生:12月〜2月 |
| 特徴 | 熟期の違いによって糖度・酸度・香りが変化する。気温・日照・樹上期間の差が味を左右する。 |
| 主産地 | 愛媛県・和歌山県・静岡県など |
| 食用部位 | 果肉(生食・加工・贈答) |
| 文化的利用 | 早生は年末向け、晩生は正月以降の出荷に用いられる。季節をつなぐ果実。 |
🍊目次
⏳ 熟期のちがい ― 早生・中生・晩生の分類
温州ミカンは、熟する時期によって「早生」「中生」「晩生」に分けられる。 花が咲く時期は同じでも、果実の成熟速度が異なるためだ。 早生は秋のはじめ、晩生は冬の終わり。 ひとつの系統でありながら、時間の進み方で味が変わる。
🌤 味の変化 ― 糖と酸のバランス
早生は酸がやや強く、みずみずしく軽い。 晩生は木の上で時間をかけるぶん糖が増し、酸が抜けて丸くなる。 一般に早生は糖度10〜11度、晩生は12〜14度前後。 日照や温度差が大きいほど、味の差は際立つ。 同じ畑でも位置や枝ぶりで熟期が変わるため、農家は木を見て摘むタイミングを決める。
🌾 栽培と管理 ― 時期を分ける技術
収穫時期をずらすには、剪定・摘果・樹勢の調整が欠かせない。 早生は風や雨の多い秋に合わせて管理し、晩生は霜害を避けて樹上で守る。 同じ園地で複数の熟期を育てることで、出荷期を長く保つことができる。 こうして「ミカンの旬」は、農家の手で何ヶ月にも引きのばされている。
🥢 季節と暮らし ― 同じ木で続く旬
早生は年末の果実、晩生は正月から春先までの味。 市場や家庭の食卓では、同じ木の実が季節をまたいで登場する。 この時間差が「冬の長さ」を感じさせ、暮らしのリズムを支えてきた。 ミカンは、季節の変化を測る小さな時計のような存在である。
✒️ 詩的一行
ひと枝の実が、時間を変えてふたつの季節を語る。
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