🍊ミカン14:早生・晩生温州 ― 熟期による味の変化 ―

ミカンシリーズ

― 時をかけて変わる、同じ木の味 ―

分類ミカン科ミカン属(Citrus unshiu
和名早生・晩生温州(わせ・おくてうんしゅう)
英名Early / Late maturing Satsuma
分布日本各地(早生は全国的、晩生は温暖地中心)
樹高2〜4m(常緑小高木)
果実径5〜8cm
早生:10月〜11月/晩生:12月〜2月
特徴熟期の違いによって糖度・酸度・香りが変化する。気温・日照・樹上期間の差が味を左右する。
主産地愛媛県・和歌山県・静岡県など
食用部位果肉(生食・加工・贈答)
文化的利用早生は年末向け、晩生は正月以降の出荷に用いられる。季節をつなぐ果実。

🍊目次


⏳ 熟期のちがい ― 早生・中生・晩生の分類

温州ミカンは、熟する時期によって「早生」「中生」「晩生」に分けられる。 花が咲く時期は同じでも、果実の成熟速度が異なるためだ。 早生は秋のはじめ、晩生は冬の終わり。 ひとつの系統でありながら、時間の進み方で味が変わる。


🌤 味の変化 ― 糖と酸のバランス

早生は酸がやや強く、みずみずしく軽い。 晩生は木の上で時間をかけるぶん糖が増し、酸が抜けて丸くなる。 一般に早生は糖度10〜11度、晩生は12〜14度前後。 日照や温度差が大きいほど、味の差は際立つ。 同じ畑でも位置や枝ぶりで熟期が変わるため、農家は木を見て摘むタイミングを決める。


🌾 栽培と管理 ― 時期を分ける技術

収穫時期をずらすには、剪定・摘果・樹勢の調整が欠かせない。 早生は風や雨の多い秋に合わせて管理し、晩生は霜害を避けて樹上で守る。 同じ園地で複数の熟期を育てることで、出荷期を長く保つことができる。 こうして「ミカンの旬」は、農家の手で何ヶ月にも引きのばされている。


🥢 季節と暮らし ― 同じ木で続く旬

早生は年末の果実、晩生は正月から春先までの味。 市場や家庭の食卓では、同じ木の実が季節をまたいで登場する。 この時間差が「冬の長さ」を感じさせ、暮らしのリズムを支えてきた。 ミカンは、季節の変化を測る小さな時計のような存在である。


✒️ 詩的一行

ひと枝の実が、時間を変えてふたつの季節を語る。


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