― 古代から近代へ ―
人が海に舟を出したとき、
その向こうにマグロがいた。
古代の記録にも、赤い魚の名が残る。
マグロは人の営みの外にいながら、
ずっと生活と祈りの中心にいた。
🌾目次
🌱 古代のマグロ漁 ― 海の恵みと祈り
日本最古のマグロ漁の記録は、紀元前から。
青森・三内丸山遺跡からはマグロの骨が出土しており、
すでに人々が外洋に出て漁をしていたことを示している。
木舟と銛、そして勘。
それでも人は海へ向かい、赤い魚を手にした。
🌿 交易と文化 ― マグロが運んだ富
平安・鎌倉の頃には、マグロは「高級魚」として都に運ばれた。
塩漬けや干物にされ、海沿いの町から京の台所へ。
その流通路が“海道”と呼ばれた。
マグロは食材であると同時に、
交易を支える海の財産でもあった。
🔥 信仰と供養 ― 海神への捧げもの
古くはマグロを「海神の化身」として祀った地域もある。
豊漁の祈願、初漁の供養、そして神饌としての奉納。
海で命を奪う者として、人はその代わりに祈りを捧げた。
浜辺の小さな社には、今もその記憶が残っている。
🌊 近代漁業の夜明け ― 技術の時代へ
明治以降、漁船は帆からエンジンへ。
冷凍設備と無線通信の発達が、漁場を世界に広げた。
遠洋漁業の幕開け――それは同時に、
海を“資源”として扱う時代の始まりでもあった。
マグロ漁は産業となり、海との距離もまた変わっていった。
🌙 詩的一行
人が海を見上げていた時代に、マグロはもっと近くにいた。
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