🌰栗5:チュウゴクグリ

クリシリーズ

― 古代からの系譜 ―

アジアの南西部に生まれたチュウゴクグリは、
日本のクリ属とは異なる長い時間を生きてきた。
その遺伝は、今も多くの品種の中に静かに息づいている。
古代から続く“栗の血筋”は、大陸と島を結ぶ記憶そのものだ。


📘基礎情報

  • 分類:ブナ科クリ属(Castanea)
  • 学名:Castanea mollissima
  • 分布:中国中部〜南部、朝鮮半島
  • 樹高:約10〜20m
  • 開花期:6〜7月
  • 結実期:9〜10月
  • 特徴:果実が大きく、渋皮が剥きやすい。日本栗との交雑品種も多い。

🌾目次


🌱 起源 ― 大陸に生まれた栗

チュウゴクグリは、中国の温暖な山地で進化した。
樹勢が強く、果実は日本栗よりも大きい。
殻が薄く、渋皮が剥けやすいため、古くから食用として重宝された。
その実は乾燥させても甘みが残り、保存性に優れている。


🌿 日本との出会い ― 交雑の始まり

古代の交易や農業交流によって、日本にも伝わったチュウゴクグリ。
自然交雑や人為的な育種を通じて、
ヤマグリとの間に多くの中間的な品種が生まれた。
現在の「銀寄」「筑波」などの優良品種にも、
この系統の遺伝が受け継がれている。


🔥 受け継がれる遺伝 ― 品種改良の土台

大粒で扱いやすい性質は、食文化の広がりとともに評価された。
戦後の品種改良では、チュウゴクグリの形質が基礎となり、
甘みや収量、病害への耐性などが改良の目標になった。
今もその血は、日本の栗の中に確かに流れている。


🌙 詩的一行

大陸の風が、今も森の実りに息づいている。


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