― 野生と人の交わり ―
森に自生するヤマグリは小ぶりだが、香りが深い。
人はその性質を見極め、接ぎ木や選抜で食卓に合う姿へと近づけてきた。
野生の強さと、暮らしの工夫が出会うところに、栗の物語は続いている。
📘基礎情報
- 分類:ブナ科クリ属(Castanea)
- 学名:Castanea crenata
- 分布:本州・四国・九州の山地
- 樹高:約10〜15m
- 開花期:6〜7月
- 結実期:9〜10月
- 特徴:日本在来の野生種。強健で香り高い実をつける。
🌾目次
🌱 ヤマグリ ― 野生が持つ基準
山地に広く分布し、実はやや小粒。
香りと甘みは濃く、樹は強健で病害にも比較的強い。
人が手を入れる前の姿として、栽培品種の出発点となった。
野生の性質が、今も多くの栗園の台木を支えている。
🌿 栽培品種 ― 早生・晩生・大粒と渋皮
人は暮らしに合わせて、さまざまな栗を選抜してきた。
成熟の早い早生、遅くまで育つ晩生、大粒種、渋皮が剥けやすい系統。
同じ栗でも、味わいも用途も変わる。
その多様さは、人が自然と向き合ってきた証でもある。
🔥 交わりの技 ― 接ぎ木・管理・再生
台木に望む品種を接ぎ、性質を受け継ぐ。
水はけ、日当たり、受粉樹の配置。
一つひとつの環境を見極めることで、実りは安定する。
放置された栗園を再生する動きも広がり、
人と森の関係は、再びゆるやかに結ばれつつある。
🌙 詩的一行
野生の香りに、人の手のぬくもりが宿る。
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