― 火と再生の樹 ―
分類: ブナ科コナラ属(Quercus)
学名: Quercus variabilis
分布: 本州・四国・九州の暖温帯
樹高: 15〜25m
葉の特徴: 大きく裏が白っぽい、粗い鋸歯
果実: ドングリ(翌秋成熟)
樹皮: 厚い灰白色のコルク状
生育環境: 火入れ跡地・乾燥地・丘陵
利用: 炭材・薪・コルク代用
備考: 厚い樹皮で火に強く、萌芽再生力が高い
灰の中から、新しい芽が伸びる。
森が焼けたあと、最初に立ち上がる木のひとつがアベマキだ。
火を恐れず、火を糧にして生きる強い木。
🌿 外見
アベマキは、クヌギに似た大きな落葉樹。
樹皮は灰白色で厚く、
深く裂けた外皮がコルクのように柔らかい。
この層が、火から幹を守る盾となる。
葉は大きく、裏面に毛が密生して白っぽく見える。
その姿はどこか荒々しく、
焼け跡に立つとより一層たくましい。
🔥 火と再生
かつて野焼きや焼畑が行われていた時代、
アベマキは最も強い再生力を見せた。
火が通り過ぎても、根元から新しい芽を吹く。
その性質は「萌芽更新」と呼ばれ、
森が何度も蘇る仕組みを支えてきた。
火のあと、灰が土に混ざる。
そこにアベマキの芽が現れ、
焼け跡をやがて新しい森に変えていく。
🪵 人との関わり
厚い樹皮は、コルク代用として利用されたこともある。
薪にも炭にも向き、
クヌギやコナラと並んで里山を構成した主要な木のひとつ。
焼畑が消えたあとも、
アベマキの森はその記憶を残している。
🌙 詩的一行
火が通り過ぎたあとにこそ、森は再び息をする。
コメント