― 高山に種を蒔く翼 ―
澄んだ空気と針葉樹の森。
その中を、白い斑点をまとった鳥が滑るように飛ぶ。
ホシガラス――高山の森を支える種まきの鳥。
彼らの一粒の記憶が、山を育てている。
- 分類:スズメ目カラス科ホシガラス属
- 学名:Nucifraga caryocatactes
- 分布:日本(中部以北の山岳地帯)、ユーラシア北部の針葉樹林帯
- 体長:約33cm
- 体重:約140〜190g
- 翼開長:約50〜60cm
- 食性:主に松ぼっくりの種子(アカマツ、ハイマツなど)を食べるほか、昆虫・果実も摂取。
- 生態:高山帯に生息し、ハイマツの種子を貯食。忘れた種が芽吹き、山の植生を再生する。
- 鳴き声:「キャッキャッ」「ガアガア」など、甲高く響く声。
- 特徴:黒褐色の体に白い斑点。くちばしが太く、種子を割る力が強い。
🌾目次
🏔 生態 ― 山を支える鳥
ホシガラスは、標高1500mを超える針葉樹林に生きる。
険しい山でも器用に飛び回り、松ぼっくりをくわえて巣へ運ぶ。
季節ごとに数千の種を貯えるその習性が、
高山の生態系を静かに支えている。
🌲 種 ― ハイマツとの共生
ホシガラスの最も大切な食糧は、ハイマツの種。
しかし、その硬い殻を開けられるのは彼らだけ。
彼らが運び、埋め、忘れた種が芽吹く。
山の緑は、鳥と木が共に作る“共生の記録”だ。
💭 記憶 ― 風の中の知恵
雪の下に眠る場所を、ホシガラスは覚えている。
木々の形、岩の影、太陽の向きを頼りに、
雪解けの春に種を掘り出す。
彼らの記憶は、山そのものの記憶でもある。
🌙 詩的一行
風が運ぶのは、羽音と種の約束。
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