🦀 カニ(淡水)13:里山とカニ ― 水路と田んぼのそばで ―

山から下りてきた水は、川を離れ、細い水路へ分かれていく。田んぼの縁を回り、畦の下をくぐり、また別の流れへと続く。淡水カニは、そうした人の手が加わった水のそばにも姿を見せる。

里山は、自然そのものではない。だが完全な人工環境でもない。森と田んぼ、水路と草地。その重なりの中に、淡水カニの居場所が生まれてきた。

🦀 目次

🌾 1. 里山という環境 ― 手が入った水辺 ―

里山の水辺は、人の管理によって形づくられてきた。草を刈り、水を引き、溢れないよう整える。その結果、流れは安定し、湿り気が保たれる。

淡水カニにとって、これは必ずしも悪い条件ではない。自然河川よりも、落ち着いた水位と隠れ場所が確保されることもある。

🚿 2. 水路と隙間 ― 人工構造の中の居場所 ―

コンクリートの水路でも、完全に閉じた空間は少ない。割れ目、継ぎ目、草の根が入り込む隙間。そこに、淡水カニは潜む。

人が意図していない部分が、結果として居場所になる。里山のカニは、人工と自然の境目を使って生きている。

🌙 3. 田んぼの季節 ― 増える水と動く命 ―

田んぼに水が張られる季節、水路の水量は一気に増える。夜になると、淡水カニの動きも活発になる。

増水は、移動の機会でもある。普段は越えられない場所を渡り、新しい隙間へたどり着く。人の営みが、結果として移動の窓を開く。

⚠️ 4. 変わる里山 ― 失われる条件 ―

管理が行われなくなると、水路は埋まり、草は伸びきり、水は滞る。逆に、過度な整備で隙間が消えることもある。

淡水カニが姿を消すのは、自然が減ったからではない。手の入り方が変わったからという場合も多い。

🌙 詩的一行

水路の影に、里山の時間が残っている。

🦀→ 次の記事へ(カニ(淡水)14:世界の暮らしと淡水ガニ)
🦀→ 淡水カニシリーズ一覧へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました