🎃かぼちゃ8:バターナッツとズッキーニ ― 変化する食卓

カボチャシリーズ

― 現代の味を形づくるふたつの姿 ―

分類:ウリ科カボチャ属 (Cucurbita)
学名:Cucurbita moschata, Cucurbita pepo
和名:バターナッツカボチャ/ズッキーニ
原産地:南北アメリカ大陸
分布:世界各地で栽培、日本では広く普及
特徴:果肉は滑らかで甘く、ズッキーニは未熟果を食用とする。
生態:温暖な気候で旺盛に生育し、果実の形や大きさに変化が多い。
用途:スープ、グリル、サラダなど多彩な調理に適応。
備考:現代の食卓で最も身近な“新しい南瓜”の代表。

市場のかぼちゃ売り場を覗くと、
長く伸びた首と膨らんだ下部を持つバターナッツ、
細く緑のズッキーニが並んでいる。
どちらも同じ仲間だが、見た目も味も異なる。
“カボチャ”という言葉の中に、
これほど多様な姿があることに気づく。


🥣 バターナッツ ― なめらかな果肉と香り

バターナッツは、C. moschata 系統の中でも滑らかな果肉を持つ品種。
果肉はオレンジ色で繊維が細かく、甘みが強い。
スープやグラタンに使うと、とろみと香りが出る。
保存性にも優れ、秋から冬の台所に長く置かれる。
形の美しさから、観賞用としても人気がある。

🥗 ズッキーニ ― 若い実を食べる野菜

ズッキーニは C. pepo に属し、未熟果を収穫して食べる。
皮は薄く、果肉はみずみずしい。
炒めても煮ても形が崩れず、他の食材の味を引き立てる。
開花直後の花も食べられ、
“花ズッキーニ”としてイタリア料理などに使われる。
夏の台所で、最も新しい南瓜の姿を見せる存在だ。

🍴 食卓の変化 ― 新しい南瓜のかたち

西洋カボチャが「甘みの記憶」、
日本カボチャが「土の香り」なら、
バターナッツとズッキーニは「軽やかさ」の象徴。
油やハーブとの相性がよく、
食文化の変化に寄り添って広まっていった。
季節の味としてではなく、
一年を通して台所に並ぶ“常の南瓜”になった。

🌙 詩的一行

かたちを変えても、味の記憶はつながっていく。


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