― 切り口に現れる仕組み ―
収穫されたかぼちゃを切るとき、最初に刃が皮に弾かれる。
硬い外皮の下には厚い果肉があり、その奥に中空の空間がある。
そこには、柔らかな繊維と白い種が並ぶ。
一つの果実の中に、季節の仕事のすべてが詰まっている。
🟠 果実のつくり ― 皮・壁・空洞
外側の皮は厚く、果実を守る鎧のような層。
内部の果肉は甘く、でんぷんを多く含む。
中心部は空洞で、そこに繊維が走り、種が並ぶ。
西洋カボチャは果肉が粉質、日本カボチャはねっとりとした食感。
種類によって厚みや色が異なり、
環境の違いが味や質感を左右する。
🟡 成熟の過程 ― でんぷんと甘み
畑で育つあいだ、果肉の中にでんぷんが蓄えられる。
収穫後、風通しのよい場所で休ませることで、
でんぷんの一部が糖に変わり、甘みが増す。
保存の数日間にも内部では変化が続き、
果肉の水分が落ち着くと、香りが濃くなる。
これは“追熟”と呼ばれる。
🤍 種の構造 ― 胚と子葉
白い殻の内側には、次の命が折りたたまれている。
胚と子葉が重なり、乾燥とともに休眠に入る。
種の表面は滑らかで、乾かすと薄く反り返る。
春になり、温度と湿り気を得ると再び動き出す。
果実の命はここで終わらず、種の中で次の季節へと渡される。
🧺 保存と扱い ― 家の中での循環
収穫したかぼちゃは、日の当たらない場所で数週間保存できる。
切ったものは、種とわたを取り除き、冷暗所か冷蔵で保つ。
包丁を入れるときは、固い皮に切れ目を入れ、
体重をかけてゆっくり押し込む。
調理では蒸し・煮・焼き、どの方法でも、
最初に“厚い側から火を入れる”と崩れにくい。
畑から台所まで、かぼちゃは人の手の中で続いていく。
🌙 詩的一行
実の中には、過ぎた季節と、次の季節が同時に眠っている。
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