🦐 エビ(海)20:漁と養殖 ― 獲ることと育てることのあいだ ―

エビは、海から「獲る」対象であると同時に、「育てる」対象にもなってきた。

沿岸で網に入るエビ、深海から引き上げられるエビ、池や囲いの中で成長するエビ。そこには、自然と人為が重なり合う複数の段階がある。

漁と養殖は対立するものではない。環境、需要、技術に応じて、使い分けられてきた方法である。

ここでは、エビをめぐる「獲る」と「育てる」の関係を見ていく。

🦐 目次

🛶 1. 漁 ― 沿岸と沖合の知恵

エビ漁は、地域ごとに異なる方法で行われてきた。

  • 沿岸:小型船・定置・底引き
  • 沖合:中・大型船による操業
  • 特徴:漁場と種に応じた工夫

浅海のエビは、干潟や砂底に依存するため、潮や地形を読む必要がある。一方、沖合のエビは、天候と水深への対応が求められる。

漁は、単に網を入れる行為ではなく、環境を読み続ける技術の集積だった。

🌊 2. 深海と季節 ― 獲り方の制約

深海性のエビは、漁の制約が大きい。

  • 制約:水深・装備・時間
  • 季節:漁期の設定
  • 理由:資源の維持

ボタンエビやアマエビのように、成長の遅いエビは、過剰な漁獲が資源に影響しやすい。

そのため、漁期や漁法が細かく定められ、「獲らない時期」を含めた管理が行われてきた。

🏗 3. 養殖 ― 安定供給への転換

養殖は、需要の増加に応えるために広がってきた。

  • 対象:主に大型種
  • 方法:池・囲い・給餌管理
  • 目的:量と品質の安定

ブラックタイガーのように、人の管理下で成長するエビは、自然条件に左右されにくい。

一方で、病気や環境負荷といった新たな課題も生まれている。

⚖️ 4. あいだにある判断 ― 資源と環境

漁と養殖のあいだには、常に判断がある。

  • 資源:獲りすぎない
  • 環境:負荷を残さない
  • 選択:地域と目的に応じる

どちらか一方に偏るのではなく、状況に応じて使い分けることが求められている。

エビを食べ続けるための工夫は、漁と養殖の両方にまたがっている。

🌙 詩的一行

獲る手と、育てる手が、同じ海を見ている。

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