エビは、海から「獲る」対象であると同時に、「育てる」対象にもなってきた。
沿岸で網に入るエビ、深海から引き上げられるエビ、池や囲いの中で成長するエビ。そこには、自然と人為が重なり合う複数の段階がある。
漁と養殖は対立するものではない。環境、需要、技術に応じて、使い分けられてきた方法である。
ここでは、エビをめぐる「獲る」と「育てる」の関係を見ていく。
🦐 目次
🛶 1. 漁 ― 沿岸と沖合の知恵
エビ漁は、地域ごとに異なる方法で行われてきた。
- 沿岸:小型船・定置・底引き
- 沖合:中・大型船による操業
- 特徴:漁場と種に応じた工夫
浅海のエビは、干潟や砂底に依存するため、潮や地形を読む必要がある。一方、沖合のエビは、天候と水深への対応が求められる。
漁は、単に網を入れる行為ではなく、環境を読み続ける技術の集積だった。
🌊 2. 深海と季節 ― 獲り方の制約
深海性のエビは、漁の制約が大きい。
- 制約:水深・装備・時間
- 季節:漁期の設定
- 理由:資源の維持
ボタンエビやアマエビのように、成長の遅いエビは、過剰な漁獲が資源に影響しやすい。
そのため、漁期や漁法が細かく定められ、「獲らない時期」を含めた管理が行われてきた。
🏗 3. 養殖 ― 安定供給への転換
養殖は、需要の増加に応えるために広がってきた。
- 対象:主に大型種
- 方法:池・囲い・給餌管理
- 目的:量と品質の安定
ブラックタイガーのように、人の管理下で成長するエビは、自然条件に左右されにくい。
一方で、病気や環境負荷といった新たな課題も生まれている。
⚖️ 4. あいだにある判断 ― 資源と環境
漁と養殖のあいだには、常に判断がある。
- 資源:獲りすぎない
- 環境:負荷を残さない
- 選択:地域と目的に応じる
どちらか一方に偏るのではなく、状況に応じて使い分けることが求められている。
エビを食べ続けるための工夫は、漁と養殖の両方にまたがっている。
🌙 詩的一行
獲る手と、育てる手が、同じ海を見ている。
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