スーパーや飲食店で最もよく見かけるエビのひとつが、ブラックタイガーである。大きく、身が締まり、安定して流通する。
その存在は、自然の海というより、人の管理のもとにある海と強く結びついている。ブラックタイガーは、人の手によって世界中へ広がったエビだ。
だがこのエビも、もとは沿岸の海に棲む一種のエビにすぎなかった。養殖という技術が、その立場を大きく変えた。
ここでは、ブラックタイガーというエビが、どのような生き物であり、どのように人と結びついてきたのかを見ていく。
【基礎情報】
- 和名:ウシエビ(一般名:ブラックタイガー)
- 別名:ブラックタイガープラウン
- 英名:Black tiger prawn
- 学名:Penaeus monodon
- 分類:節足動物門/甲殻亜門/軟甲綱/十脚目/クルマエビ科
- 分布:インド太平洋原産(現在は世界各地)
- 主な生息環境:沿岸の砂泥底・汽水域
- 水深:浅海域中心
- 体長:成体で20〜30cm前後
- 食性:雑食
- 繁殖:海で産卵、幼生期は汽水域を利用
- 特徴:大型・黒い縞模様
- 人との関わり:養殖・世界的流通
- 保全・注意点:養殖による環境負荷・疾病問題
🦐 目次
🌊 1. 本来の棲み場所 ― 沿岸と汽水域
ウシエビは、もともとインド太平洋の沿岸域に棲むエビである。
- 環境:浅海・河口周辺
- 特徴:汽水域を利用
- 行動:底生中心
幼生期から若い個体は汽水域を利用し、成長とともに海へ戻る。この生活史が、養殖に適していた。
🦐 2. 体の特徴 ― 大型化したエビ
ブラックタイガーは、エビ類の中でも大型になる。
- 体形:太く、重量感がある
- 模様:黒い縞
- 身:弾力が強い
この大きさと成長速度が、商業的価値を高めてきた。
🏭 3. 養殖という転換点
20世紀後半、ブラックタイガーは養殖技術の確立によって、急速に生産量を増やした。
- 方法:池・沿岸施設
- 利点:大量生産
- 課題:病気・環境負荷
養殖は安定供給を可能にした一方、疾病の流行や水質悪化といった問題も生んだ。
🌍 4. 世界に広がったエビ
ブラックタイガーは、今や世界中で消費されている。
- 流通:冷凍・加工
- 用途:外食・加工食品
- 位置:日常のエビ
かつては特別だった大きなエビは、日常的な存在へと変わった。
それは、人がエビの生き方を変えた結果でもある。
🌙 詩的一行
海から離れた場所で、このエビは増えていった。
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