アザラシは、速く泳ぐ動物ではない。
一直線に海を切り裂くことも、獲物を追って激しく加速することも少ない。
それでも彼らは、深く、長く、静かに海に潜り続けてきた。
アザラシの泳ぎと潜水は、「力」ではなく制御と節約によって成り立っている。息を止め、動きを抑え、必要な分だけ体を使う。その繰り返しが、氷の海での生活を可能にしている。
🦭 目次
- 🌊 1. アザラシの泳ぎ方 ― 後肢主導の推進
- 🧭 2. 浮く・沈む ― 皮下脂肪と肺の役割
- 🫁 3. 潜水のしくみ ― 息を止めるだけではない
- ⏱️ 4. 深さと時間 ― どこまで、どれくらい潜るのか
- 🌙 詩的一行
🌊 1. アザラシの泳ぎ方 ― 後肢主導の推進
アザラシの泳ぎは、魚の尾ビレとも、クジラの尾とも異なる。主に後肢を左右に振ることで推進力を生み出す。
- 後肢:推進の中心
- 前肢:方向転換・姿勢制御
- 体幹:しなやかに連動
この泳ぎ方は、急加速には向かないが、一定速度を保つのに優れている。長時間泳ぎ続けても疲れにくく、狩りと移動を同時に成立させるための形だ。
🧭 2. 浮く・沈む ― 皮下脂肪と肺の役割
アザラシは、泳ぐだけでなく「浮き沈み」を巧みに使う。ここで重要なのが、皮下脂肪と肺の空気量だ。
- 皮下脂肪:常に浮力を生む
- 肺:空気量で浮力を微調整
- 姿勢:角度で沈降速度を調整
潜水前に肺の空気を調整することで、無駄な動きをせずに沈むことができる。浮力に逆らって泳ぐ時間を減らすことが、エネルギー節約につながっている。
🫁 3. 潜水のしくみ ― 息を止めるだけではない
アザラシの潜水は、単に長く息を止めているわけではない。体全体が潜水専用の状態へ切り替わる。
- 心拍数:大幅に低下
- 血流:脳・心臓を最優先
- 筋肉:酸素を多く保持
深く潜るほど、肺は圧縮され、窒素の吸収も抑えられる。これは減圧障害のリスクを下げる効果もある。潜水は、物理と生理の両方を使った行為なのだ。
⏱️ 4. 深さと時間 ― どこまで、どれくらい潜るのか
潜水能力は種によって大きく異なる。
- 沿岸性アザラシ:数十〜数百m
- ゾウアザラシ:1000m以上
- 潜水時間:数分〜1時間以上
深く潜れる種ほど、長い休息と効率的な狩りを繰り返す。頻繁に浮上するより、少ない回数で確実に餌を得るほうが、安全で無駄がないからだ。
🌙 詩的一行
アザラシは、深く潜ることで、静かな時間を手に入れてきた。
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