夜を喰らい、光を生む。
腐った倒木に群がる、月のような白。
夜目にも淡く光り、
触れれば少しぬめるその肌。
ツキヨタケは、
森の中で闇を食べて生きている。
毒をもち、光る。
まるで、森が夜の一部を
きのこの形に固めたようだ。
🌙 闇を食べるという生き方
ツキヨタケは木の死骸に寄生し、
その中の命を分解して栄養を得る。
つまり、死を食べるきのこ。
けれどその行為は、
森にとって再生の始まりでもある。
毒は、その役目の副産物。
腐敗を防ぎ、他の命を遠ざけるための鎧。
だからツキヨタケの毒は、
「守るための毒」なのだ。
🩸 毒と光の関係
夜の森で淡く光るその傘。
人が目を凝らさないと見えないほどの微光。
だが、それは確かに生きている証。
毒と光は、対立ではない。
どちらも、生きるための“境界”。
毒が闇を拒み、光が死を照らす。
その狭間で、きのこは呼吸している。
🌲 誤解の森
ツキヨタケは、食用のヒラタケやムキタケに似ている。
だからこそ、人は間違える。
森が作った似姿の罠。
命と死の境界線を見極める力を、
人は試されている。
森は、
「似ていることの恐ろしさ」を
このきのこで教えている。
✨詩的一行
光るために、毒をもった。
それが森の夜の法則。


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