海には、目立たないが欠かすことのできない生き物がいる。オキアミは、その代表だ。
一匹一匹は小さく、食卓に直接並ぶことも少ない。だが、その数は膨大で、海の生態系を下から支えている。
魚も、クジラも、鳥も、多くの生き物がオキアミを食べて生きている。オキアミは「主役」ではないが、舞台そのものを成り立たせる存在だ。
ここでは、量としての生き物であるオキアミを見ていく。
【基礎情報】
- 和名:オキアミ
- 別名:磯海老(地域名)
- 英名:Krill
- 学名:Euphausiacea目 各種
- 分類:節足動物門/甲殻亜門/軟甲綱/オキアミ目
- 分布:世界の海(特に寒冷域に多い)
- 主な生息環境:外洋の中層
- 水深:日中は深層、夜間は表層
- 体長:数cm前後
- 食性:植物プランクトン・微小動物
- 繁殖:外洋で産卵・浮遊幼生
- 特徴:大群を形成する
- 人との関わり:水産飼料・健康食品
- 保全・注意点:過剰漁獲と気候変動の影響
🦐 目次
🌊 1. オキアミとは何か ― エビに似た別の系統
オキアミは見た目こそエビに似ているが、分類上は十脚目ではなく、オキアミ目に属する。
- 系統:オキアミ目
- 違い:脚の構造
- 位置:甲殻類の別系統
この違いは小さく見えるが、生態や役割には大きな差を生んでいる。
🐟 2. 食物連鎖の要 ― 多くに食べられる存在
オキアミは、多くの海洋生物の餌となる。
- 捕食者:魚類・クジラ・鳥類
- 位置:中間層
- 役割:エネルギーの橋渡し
植物プランクトンを食べ、それを大型生物へとつなぐ。この役割がなければ、海のエネルギー循環は成立しない。
🔁 3. 群れと日周移動 ― 量としての戦略
オキアミは巨大な群れを作り、昼夜で水深を変える。
- 昼:深い層
- 夜:表層
- 利点:捕食回避と摂食
数が多いこと自体が、防御であり、生存戦略でもある。
🏭 4. 人との関係 ― 利用と影響
オキアミは、人にも利用されてきた。
- 用途:飼料・サプリメント
- 価値:オメガ3脂肪酸
- 課題:資源管理
過剰な利用は、食物連鎖全体に影響を及ぼす可能性がある。
🌙 詩的一行
見えない数が、海を支えている。
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