エビは、特定の場所だけに棲む生き物ではない。潮の満ち引きがある浅い海から、光の届かない深海まで、その姿は広く分布している。
砂の上、泥の中、岩の隙間。環境が変われば、体の大きさや色、行動も変わる。
共通しているのは、海底という生活圏に適応してきたことだ。エビは、環境に合わせて棲み分けることで、多くの居場所を確保してきた。
ここでは、エビがどこに棲み、なぜそこに定着できたのかを見ていく。
🦐 目次
🏖 1. 浅海のエビ ― 人の目に近い場所
多くのエビは、沿岸の浅い海に棲んでいる。水深が浅く、餌が豊富なため、生き物の密度が高い。
- 水深:数メートル〜数十メートル
- 特徴:光が届く
- 代表:クルマエビ類など
浅海では、藻類や小動物が多く、隠れ場所も豊富だ。一方で、捕食者も多いため、夜行性や擬態といった行動が発達している。
人の暮らしに最も近いのが、この浅海のエビたちである。
🪨 2. 海底の環境 ― 砂・泥・岩礁
エビは、海底の性質に応じて棲み分けている。
- 砂底:潜って隠れる
- 泥底:有機物が多い
- 岩礁:隙間を利用
砂や泥の底では、体を埋めて身を隠す種が多い。岩礁では、割れ目や洞のような場所を住処にする。
底質の違いは、エビの体形や行動にも影響を与えている。
🌑 3. 深海のエビ ― 光のない世界
水深数百メートルを超える深海にも、エビは棲んでいる。
- 光:ほぼ届かない
- 温度:低い
- 餌:沈降物が中心
深海のエビは、成長が遅く、寿命が長い傾向がある。色は赤や白が多く、光のない環境に適応している。
ここでは、漂ってくる有機物を利用することが、生きる基本となる。
🗺 4. 分布を広げる仕組み ― 流され、定着する
エビが広い範囲に分布できる理由のひとつは、幼生期の生活にある。
- 幼生:浮遊性
- 移動:潮流に依存
- 結果:分布の拡大
ゾエアやミシスの段階で海を漂うことで、新しい環境にたどり着く可能性が生まれる。
流され、たどり着いた場所で定着する。この繰り返しが、現在の分布を形づくってきた。
🌙 詩的一行
底の違いが、棲み分けという形になって残る。
🦐→ 次の記事へ(エビ8:脱皮と成長)
🦐← 前の記事へ(エビ6:食性と捕食)
🦐→ エビ(海)シリーズ一覧へ
コメント