エビは、特定の餌だけを追いかける生き物ではない。海底を歩きながら、目についたもの、触れたものを確かめ、口に運ぶ。
生きた獲物を捕まえることもあれば、死骸や落ちてきた有機物を食べることもある。その柔軟さが、さまざまな環境で生き延びる力になってきた。
雑食であることは、目立たないが確実な戦略だ。限られた資源を奪い合うのではなく、残されたものを利用する。
ここでは、エビが何を食べ、どのように捕食しているのかを見ていく。
🦐 目次
🍽 1. 何を食べるのか ― 幅広い食性
海のエビは、基本的に雑食性である。植物片、動物の死骸、小さな無脊椎動物、プランクトンなどを口にする。
- 植物:藻類・海草のかけら
- 動物:小型生物・死骸
- 有機物:沈降物
特定の餌に依存しないことで、環境が変わっても生き延びやすい。
この幅広さが、浅海から深海まで分布できる理由のひとつだ。
🦵 2. 餌の取り方 ― 掴み、裂き、運ぶ
エビは、脚を使って餌を扱う。前方の脚や顎脚で餌を掴み、口元へと運ぶ。
- 使用部位:顎脚・歩脚
- 動作:掴む・裂く
- 特徴:細かな操作が可能
硬い殻や繊維質の餌も、少しずつ削るように食べる。
力よりも、手数で処理するのがエビのやり方だ。
🧹 3. 腐食と掃除 ― 海底の片づけ役
エビは、死骸や沈殿した有機物を食べることで、海底の環境を保つ役割を担っている。
- 役割:分解の初期段階
- 対象:死骸・落下物
- 影響:腐敗の抑制
目立たないが、この働きがなければ、海底には不要な有機物が溜まりやすくなる。
エビは、食べることで環境を整えている。
🎯 4. 捕食される側として ― 食べられる前提
エビは捕食者でもあるが、同時に多くの生き物に食べられる存在だ。
- 捕食者:魚類・タコ・鳥類
- 対策:隠れる・夜行性
- 戦略:数で補う
食べられることを前提に、多く産み、多く成長する。これもまた、生態系の中での役割だ。
エビは、食べ、食べられる位置に立っている。
🌙 詩的一行
残されたものを口にして、海は静かに片づいていく。
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